■隣国は野田氏に「過去の点検」を要求
米国務省のヌーランド報道官は29日、野田氏の首相就任に歓迎の意を表し、「幅広い分野で新首相との緊密な協力に期待している」と述べた。だが周辺国の反応は不安の方が多い。韓国外務省は30日、日本の新政府に歴史を「正視」するよう呼びかけた。同省報道官は「歴史を正視しさえすれば、われわれは野田佳彦氏の指導する日本の新政府と引き続き成熟した、未来志向の関係を構築していくことに期待する」と述べた。AFP通信はこの発言を「韓国が野田氏に過去を点検するよう求めたもの」と読み解いた。韓国メディアは直接的な批判が多い。朝鮮日報は「靖国神社参拝を支持し、A級戦犯を認めない野田氏は小泉純一郎氏よりも、さらに強硬な極右傾向の歴史観を持っている」と指摘。東亜日報は30日付社説で「日本の野田佳彦新内閣は歴史の潮流に逆らってはならない」との見出しを掲げた。
西側メディアも野田氏の「タカ派」の立場がアジア隣国との関係を複雑化させるおそれがあると次々に強調。ウォールストリート・ジャーナルは「『文藝春秋』8月10日号で野田氏は中国に矛先を向け、『中国は軍事力を急速に強化し、軍事活動の範囲を拡大しており、戦略的意図が不明だ。これは日本と地域全体に大きな懸念を引き起こしている』と書いている」と指摘。別の記事でも「野田氏は8月15日の記者会見で、A級戦犯は戦犯ではないと発言し、韓国を怒らせた。中国のある日本専門の教授はこれについて『中国、韓国、世界各国はこのような発言を全く受け入れられない。ヒトラーは戦犯ではないと言うのと同じだ』と述べた」と報じた。
中国政府系メディアの報道も野田氏への「警告」と分析された。ボイス・オブ・アメリカは「中国、日本の新リーダーに核心的利益を尊重するよう警告」と題する記事で「野田氏の党代表当選から数時間後に中国政府系メディアは『野田政権は正しい政策を行い、第二次大戦時の犯罪行為の埋め合わせをすべきだ。特にA級戦犯14人の位牌を祀る靖国神社への参拝は避けるべきだ』との論説を発表した。中国メディアは野田氏に、東中国海の係争島嶼問題を含め、中国の核心的利益をもっと尊重するよう促しもした」と報じた。
野田氏は中韓の懸念に正面から回答してはいないが、30日の記者会見で「歴史認識問題を振りかざすつもりはない。アジアとウィンウィンの関係を築きたい」と述べた。共同通信は「野田氏は中韓両国と安定した外交関係を全力で築きたいと考えている。中韓両国との島嶼紛争は未解決だ。野田氏の外交手腕が試される」と分析した。
「人民網日本語版」2011年9月1日