資料写真:JR東海会長の葛西敬之氏
JR東海会長の葛西敬之氏は27日付の読売新聞「地球を読む」で、「TPP参加と日米同盟は表裏一体だ」と論じた。1940年生まれの葛西氏は、「日本の実業家」と呼ばれているだけでなく、日本の鉄道業界の大物だ。「環球日報」が伝えた。
「我が日本国は、野田首相の政治決断に因って環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加を決定した。冷戦終焉後20年余を経て今、21世紀の世界の骨格が見え始めた」。そう述べた上で葛西氏は次のように言う。「急速に大国化した中国はグアムまでミサイルの射程に収め、南中国海、東中国海の洋上航行を制し、西太平洋の海上覇権派遣をうかがおう」。さらに「世界政治の主舞台は 太平洋に移り、其の主役は太平洋を挟む米国と中国に変わった。日本はこの両国の勢力均衡をとるべきだ」と。
さらに、「TPPの日本参加を中国はあらゆる手を打って阻止し、東アジア共同体の構築によって日米の分裂を図ろうとしている。日本人の約7割は中国に好感を抱いていないが、日本の与野党内には『親中』『反米』『反TPP勢力』が存在する。中国はこの勢力を利用して挑発してくる可能性がある」とし、最後に「安全保障は日米同盟、経済の繁栄は東アジア共同体などという不整合は成立しない。TPPに裏打ちされた日米同盟しか選択肢はない。政府は日米同盟強化策を進めるとともにTPPがその経済的裏づけとなった時はじめて地域の平和と安定が築かれる。中国が紳士的な隣人となる」と言及した。
日本の企業家は本来、ビジネスの場でビジネスについて語るのが筋だが、葛西氏はなぜ公開の場で中国に挑もうとするのか?記者は日本の竹下登元首相の弟、竹下亘議員を取材して知ったことだが、かつて中国に日本の新幹線をPRするため、葛西氏は竹下登氏に同行して中国を訪問したが、中国側が主張する新幹線の技術と設備を分けて購入する考えに断固反対した。結果、日本の新幹線が中国で全面的に導入されることはなかった。こうした大口取引の失敗を今でも忘れられず、中国を非難する立場に立っているのかもしれない。
政治に関心をもち、政治に関わる日本の企業家は葛西氏が初めてではない。日本の著名な「経団連」は「財界の総理」と呼ばれ、政界を左右する力をもっている。日本の「経営の神」、故松下幸之助氏は晩年政治に力を入れ、「草の根政治家」を育成するため、70億円の私財を投じて「松下政経塾」を創設した。しかし企業家の政治家に対する影響力が偏ると、予測不可能な結果を招くことにもなる。(文=蒋豊)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年11月29日