米国の国連本部で26日午前、インド、日本、ドイツ、ブラジル(G4)が再び、国連安全保障理事会常任理事国の拡大問題について「新たな攻勢」を始めた。G4の共同提出した拡大案が議論されたのは初めてで、常任理事国問題が再びかまびすしくなってきた。「中国広播網」が伝えた。
タイムズ・オブ・インディア紙によるとG4は強硬な口調で常任理事国入りの重要性を訴え、安保理改革は避けられない時期に来たと強調。一方で最も厄介で敏感な「拒否権」問題には触れなかった。
■常任理事国入りへの長い道のり
G4は毎年常任理事国入りを目指しては果たせずにいる。このプロセスは複雑な曲折を経てきた。1993年に第48回国連総会で安保理改革専門の作業部会が設置された。1997年3月に包括的安保理改革案が示されて以来、安保理改革と常任理事国拡大の掛け声は絶えず上がっている。アナン前事務総長時代には実現まであと一歩の段階に来たとさえ思われ、「冷戦終結後、世界の構造には重大な変化が起きた。元々第二次世界大戦後の国際政治構造を反映している安保理の議席配分は改革が必須」との呼び声が日に日に高まった。
過去10年間にインド、日本、ドイツ、ナイジェリア、南アフリカ、トルコ、さらにはイランやアラブ、アフリカ諸国までもが常任理事国に代表を持たないことを気にかけ、毎年常任理事国入りを訴えている。昨年ブラジル、日本、インド、ドイツのG4は国連本部で声明を発表し、安保理改革について同年9月の国連総会閉幕までに成果を出すよう求めた。これは「G4を同時に常任理事国入りさせなければならない」との明確なメッセージと受け止められている。G4のうちドイツと日本は1980年代以降、一貫して常任理事国入りを目指してきた経済大国。インドはBRICsの1つで、将来世界最大の人口を抱えることになる国だ。ブラジルは近年経済成長が目覚ましく、「新興国」にふさわしい国際的地位の獲得を目指している。G4が常任理事国入りへの欲求を日増しに強めていることがうかがえる。
■拒否権に触れないのは便宜上の措置に過ぎない
争点の1つは拒否権だ。だがG4は共同声明で、厄介で敏感なこの問題には触れなかった。この策略の効果と目的は何か。中国国際問題研究所の曲星所長は「G4の策略は非常にはっきりと見てとれる。G4の立場ははっきりしているからだ。数年前にG4は『常任理事国の権利と義務は同じであるべきだが、拒否権問題は常任理事国入りの障害にならない』と公に表明した。こうした外交辞令は裏返すとどういう意味だろうか?G4は『常任理事国になった以上、われわれも他の常任理事国と同様に拒否権を与えられるべきだが、現在この問題において各国間に論争がある。いったんこれを手放し、まず常任理事国入りした後に、その最初の年から毎年拒否権問題を持ち出すこともできる』と考えている。つまりこれは策略だ。また、各国共に非常にはっきりと見抜いているため、この策略が効を奏すとは限らない」と指摘する。
「人民網日本語版」2012年1月29日