イラン議会で29日に予定されていた欧州連合(EU)への原油輸出停止法案の審議が2月1日まで延期される見通しであることを複数のイラン議員が明かした。一部メディアは、国際原子力機関(IAEA)の査察団との接触の雰囲気を和らげる意図があると見ている。
イラン議会エネルギー委員会の副委員長は28日「EU向け原油輸出の即時停止を政府に求める法案はすでに起草済みだ。EUが原油禁輸措置を撤回しない場合、EUには一滴の油も送らない」としている。
エジプト紙アル・アクバル(29日付)は「イランは制裁を恐れない姿勢を強調する一方で、核問題で西側と交渉する意向も表明している。これは比較的柔軟な外交姿勢を示すものであると同時に、あらゆる手を尽くして先延ばす戦術の現れでもある」と分析する。
イランの金融アナリストも「イランはEUが契約を1つ1つ取り消すのを待たず、一歩先んじて自ら契約を破棄することで、EUに代替の原油供給源を探す時間を与えない考えだ。これは国際原油価格の上昇をもたらす。原油価格の高騰はEU、特に南欧諸国の経済に損害を与えるだろう」と指摘する。
中国現代国際関係研究院の田文林副研究員は人民日報の取材に「現状を分析すると、米国がイランに武力を行使する可能性は大きくない。オバマ政権の対イラン政策は再三変化し、現在はブッシュ前政権時代の、封じ込めより交渉を重視する路線に戻っている。西側の対イラン経済制裁の長期的影響については、一層の観察が必要だ。経済制裁の効果がはっきりと現れた場合、政治・社会などイラン各界に急速に波及し、イラン内部に混乱をもたらし、アハマディネジャドの失脚を招くことすら考えられるが、武力行使の可能性は大きくない。一方、経済制裁が期待した効果を上げない場合、西側は制裁と並行して武力も行使するかもしれない」と指摘する。