フィリピンのガズミン国防相は28日、空軍と海軍の主要基地をかつて米海軍基地があったスービック湾に改めて移し、中国と領土係争を抱える南中国海により迅速に展開できるようにする計画であることを明らかにした。フィリピンは南中国海問題で中国と拮抗できるよう、鳴り物入りで軍事力を拡大していると見られる。
スービック湾は天然の深い港湾で、首都マニラの北80キロに位置し、フィリピンが米国から得た大型軍艦2隻も停泊できる。
1901年に米国はスービック湾に海軍基地を建設し、かつては海外最大の米軍基地として知られた。1990年代初めの米軍撤退を受けてフィリピン政府に返還され、1992年に経済特別区となった。
AP通信が入手したフィリピン国防省の機密文書によると、同じくマニラの北に位置するクラーク空軍基地と比べ、スービック湾は戦闘機の所要時間をより短縮して、中国と領土係争を抱える南中国海により直接的、より迅速に展開できる。空軍基地の新規建設には約2億5600万ドル必要だが、スービック湾はすでに世界レベルの滑走路と航空施設を備えており、約1億1900万ドルで空軍基地に改修できる。
ガズミン国防相は資金さえ確保できれば、空軍と海軍およびその軍用機と軍艦をスーピック湾に移す方針を表明。「これはわれわれの西フィリピン海(南中国海のこと)を守るためだ」とも述べた。
同文書によるとフィリピンは将来米軍に短期駐留を認め、現在より大規模な合同軍事演習を多く行なうことも計画している。
フィリピンは一貫して米国がアジア太平洋地域で軍事力を強化して中国を牽制することを支持するとともに、外交的手段で南中国海の主権を中国と争っている。
AP通信は「現在、南中国海の領土紛争が引き起こす衝突への懸念が深まっている。深刻な衝突が起きた場合、成長を続けるアジア経済が将来脅かされるかもしれない」と論じた。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年7月30日