習近平国家主席は3日、就任後3度目の外遊に出発する。初外遊時、世界は中国新指導部の最高指導者がどのような外交デビューを飾るかを見ることを期待した。2度目の外遊時、世界は習主席が米カリフォルニア州「サニーランズ」で米側と中米の新型の大国間関係をどう描き出すかを見ることを期待した。中央アジア4カ国を訪問し、G20サミットと上海協力機構首脳会議に出席する3度目の外遊は、世界に3つの大きな期待をもたらす。(文:賈秀東・本紙特約論説員、中国国際問題研究所特別招聘研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
その一、中国経済に対する新たな自信の強化。中国はG20構成国で長年最も急成長を続けている国であり、第1回G20サミット以来、世界経済ガバナンスと世界経済の成長に最も多くプラスの影響を与えた国でもある。現在、世界経済は成長の原動力が依然不足し、各主要経済体の回復過程は不均衡で、一部の新興国も新たな試練に直面している。これと比べ、中国経済は多少減速したものの、年7.5%の経済成長を実現するに十分な基礎と自信がある。国際通貨基金(IMF)のまとめでは、これは世界経済の成長に対する中国経済の寄与度が28%に近づくことを意味する。G20サンクトペテルブルクサミットで習主席が発表する中国経済の明るい見通しは、近頃国際メディアでささやかれる「中国経済衰退」論を弱め、世界経済のスタビライザーとしての中国の役割と影響力をはっきりと示すことになるだろう。
その二、中国と中央アジア関係の「黄金の10年」の創造。中央アジア地域の平和・安定・発展は中国の核心的利益に関わり、中国の発展戦略、安全保障戦略、近隣外交戦略において重要な位置を占める。中央アジア地域はエネルギーなど豊富な自然エネルギーがあり、かねてよりユーラシア大陸をつなぐ戦略的回廊であり、中国北西部の安全と密接に関係する。同様に、中央アジア諸国は国家の独立、主権、領土保全の維持、および国民経済の発展などの面で中国の理解と支持を必要としている。今後10年は双方が全方位的でハイレベルな関係を構築する黄金の10年となる。エネルギー協力の深化は依然、中国と中央アジア諸国の戦略的協力の強化の重要な方向だ。同時に、交通、通信、農業、観光、インフラ整備など資源以外の分野の協力の強化が、双方の協力・ウィンウィンを育む新たな、重要な成長源となる。習主席は今回の訪問を利用して新たな協力提言を行い、中央アジア各国との2国間関係の水準を全面的に引き上げる。中央アジア各国はこのことへの期待に満ちている。
その三、上海協力機構安全保障協力の強化。安全保障協力と経済協力は上海協力機構発展の二大礎石だ。このうち安全保障協力は上海協力機構の創設と強大化の中心的駆動力だ。近年、中東地域の動揺が続き、そのマイナスの影響が中央アジア地域にまで波及している。中国と中央アジア諸国は共に「3つの勢力」(分離独立派、宗教過激派、テロリスト)の地域への浸透を防ぎ、打撃を与えるという重要な任務を抱えている。この他、麻薬密輸、国際的組織犯罪、サイバー犯罪も上海協力機構の注目する重点的安全保障協力議題となりつつある。加盟国の核心的利益に関わるこうした問題における相互支持は、上海協力機構の育む「上海精神」の重要な構成要素だ。習主席の上海協力機構サミット初出席は、「上海精神」の一層の発揚、加盟国の核心的利益に関わる問題での断固たる相互支持の継続、実務協力の推進へと各国を導くだろう。
習主席の3度目の外遊は中国の全方位的外交構造の構築における新たな重大な一歩だ。わずか10日間の日程で大国間関係の計画、近隣友好の開拓、途上国との協力の深化、多国間外交の誘導という中国外交の4大要素を含み、新情勢下の中国外交の戦略性、大局性、革新性を具体的に示す。習主席の過去2度の外遊が中国外交が一新された感覚を世界に与えたとするなら、3度目の外遊は中国外交の戦略デザインに対する新たな理解を世界に与えるだろう。習主席の外遊は世界に期待をもたらし、中国と世界との良好な相互作用の形成を後押しする。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年9月4日