先日閉幕した第8回G20サミットでは、新興国の経済成長の減速が重要な背景、注目点となった。インド、インドネシアなどアジア新興国の金融市場の激しい動揺を受け、今年5月以来の新興市場の広範な経済的動揺が激化した。これは新興市場の全面的台頭という趨勢に転換が生じたことを示すものとなる可能性が高い。(文:梅新育・商務部<商務省>研究院研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
新興市場の危機圧力の根源はその経済的・社会的脆弱性にあり、考え方、認識、経済・社会政策の誤りによって、これらの弱点が激化した。過去10年来、多くの新興国の経済成長は一次産品に強く依存してきた。2002年以来の一次産品の「スーパーサイクル」はこうした国々の経済成長を押し上げてきた。ロシア、ブラジル、南アフリカといったBRICSも例外ではない。製造業駆動型の経済成長と比べ、一次産品駆動型の成長には克服不能な弱点がいくつかある。経済の変動が大きく、所得分配の不均衡と両極化を激化し、資産バブルが深刻で、社会矛盾を激化するといった具合だ。
それだけではない。過去10年来、少なからぬ新興国が流行世論に大きく影響されて内需主導成長モデルを過度に崇拝し、西側に牛耳られた国際世論は中国も学ぶべき「模範」だと誉め讃えた。その典型的模範がインドだ。
経済発展の新参者である大多数の新興国の経済成長は元々資本流入と信用拡大に相当依存していた。持続的な経常赤字が資本流入への依存を一段と深めた。また、政府の行動力の弱さなどの原因により外資導入構造を最適化できず、変動の大きいポートフォリオ投資の割合が過度に大きく、実体経済部門の直接投資の割合は過度に小さくなった。これは一時的な「成果」をもたらしたが、それ以上に資本移動の大規模な逆転と投機的通貨攻撃に遭う禍根を残した。また、以前西側世論の喝采と奨励の下で講じた急進的な金融市場開放と資本勘定「改革」措置は、危機の際に投機的資本攻撃の突破口となるだろう。