訪問中、中国政府はASEAN全体および個々の訪問国を対象とする各レベル・分野の協力枠組みを打ち出した。こうした枠組みはいずれも資金、技術、市場など力強い現実的基礎を必要とする。長期的成長の確保に関する中国国家主席の約束は、自らの実力に対する中国の自信の表れだ。そしてこの自信は東南アジア諸国との中国の全ての協力枠組みが対象国の賛同と支持を得ることのできた心理的基礎となった。
テクニックは実力を基礎に築かれて初めて意義を持ち、効果を生むことができる。中国の総理はタイでの高速鉄道技術の売り込みでも、ベトナムでの3つの協力枠組みの提唱でも、中国の投入できる力を前提にした。だが中国は自らの力を盲信しているわけでは決してない。ましてや、いわゆる金銭外交を推し進めてはいない。タイでの高速鉄道技術の売り込みであれ、ベトナムとの通貨スワップの推進であれ、中国の打ち出した協力枠組みは、自らの力の運用の熟達度の高まりを具体的に示すものだ。現状に立って、虚利虚名を排し、近隣諸国に貢献するとともに自らにも恩恵を及ぼす方針を堅持する。この運用原則は、「金を払って安定を求める」論理パラドクスを避け、対象国の懸念を引き起こすことがなく、一歩一歩進める中で、共通利益の最大化を図るものだ。力は他国を脅すために用いるものではない。これが太陽が北風より歓迎される原因だ。
もちろん、中国は自らの善意が全ての国から友好的なフィードバックを得られると盲信してもいない。黄岩島(スカボロー礁)事件以降、中国は一方的な善意によってフィリピンとの関係を緩和する従来のやり方を放棄した。フィリピン指導者に対する中国指導者の加減ある冷淡な姿勢は、フィリピン政府が騒ぎ立てたからといって戦術を変える考えが中国にないことを物語っている。原則を堅持する。たとえそれによって、時としていくつかの近隣国が騒いだとしても少しも惜しくはない。実際には、まさにこうした原則の堅持によって、中国の善意のもたらす良い結果を、近隣諸国はより容易に感じとるようになるのだ。
東南アジアで、中国はセットのカードを切った。人々はバリ島で、カード全体を通して南中国海の大局を描き出す中国の気迫を目にした。タイで、中国指導者がタイとの友情を肉親の情のように大切にしていることを感じ取った。ベトナムで、金融カードとインフラカードによって協力を拡大しウィンウィンを促進する中国の誠意を身をもって感じ取った。そして広大な南中国海で、北部湾(トンキン湾)区域協力によって「係争棚上げ、共同開発」を実践する中国の知恵を理解した。そしてこうした全てのカードが組み合わさって合力を形成できたのは、まさにそれらの間に内在的な論理関係が存在するためである。つまり原則の堅持を基礎に自らの優勢な力を柔軟に運用し、力、テクニック、決意の均衡を達成し、中国との協力・ウィンウィンによる効果と対立継続による代償についての周辺国の見積もりを保証すると同時に効果を生んだのだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年10月16日