近年、中国の国力上昇と相対的な米国の国力低下、米国のアジア太平洋回帰戦略に伴い、中米関係は再び調整期に入った。1990年代初めと異なり、今回の調整は外的な国際構造の変化によるものではなく、両国間のパワーバランスの変化によるものだ。米国の戦略界と政策決定者は防備の心理から、中国を米国の主導的地位に対する潜在的挑戦者と見なし、この想定に基づき戦略を定め、計画を実行している。主権の平等性を守る中国の合理的、正当、合法的な行為に対して米国は行き過ぎた解釈をし、あってはならない戦略的誤判断も生じている。中米の新型の大国間関係にとって、これはまさに今後解決に力を入れる必要のある問題だ。
米国は戦略の柔軟性を維持する必要もある。中国と対抗する、または中国を封じ込めるに十分な理由と動員環境が米国にはないからだ。中国の平和的発展という戦略的意図を米国と周辺国はすでに感じ取っている。冷戦時にソ連を封じ込めたように中国を封じ込めることは米国にはできない。さらに重要なことに、中米は数多くの利益を共有する。経済的相互補完性のために、中米は互いに協力を強く必要としている。こうした相互依存関係が「協力すれば共に利し、闘えば共に傷つく」という中米関係の基本的現状を決定づけている。
現在、再調整期に入った中米関係は2つの異なる発展の方向性を呈している。1つは米国の対中不信が日増しに激化する衝突の方向性。もう1つは中米が共通利益をより重視して、新型の大国共存モデルを構築する協力の方向性だ。中米間のたゆまぬ戦略の見直しと調整の過程において、中国の国力が強大化し続ける中で、いかにして新型の大国間関係を発展させるかが、調整のカギを握る。カギを握るこの問題をうまく解決することは、中米両国関係が安定と成熟へ向かうことを意味するのみならず、将来の国際構造・安全保障情勢にとっても重要な意義を持つ。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年12月20日