○バラエティに富む内容
中国国内で好調な売れ行きの外国人指導者関連書籍は、主に、伝記、回想録、演説と講話集、著述文などいくつかのカテゴリーに分けられる。このうち、数量的に最も多く、最も広まっているのは回想録で、米国の元ファースト・ファミリー、クリントン元大統領の「マイライフ・クリントンの回想」やヒラリー夫人による回想録「困難な選択」などが含まれる。2人は著書の中で、8年間に及ぶホワイトハウスでの生活や国務長官在任時の状況を振り返り、ファースト・ファミリーが掴んだ権力をめぐるストーリーが展開されている。
このほか、フランスのシラク元大統領の回想録「シラク回想録:勝利に向けて一歩ずつ(1932―1995)」、日本の村山富市元首相の回想録「私の履歴書」、南アフリカのマンデラ元大統領の「私自身との対話」などの人気が高い。
回想録のほか、欧州諸国の元国家指導者など、外国政府高官の発言を取りまとめた談話集や語録集も、数多く出版されている。英国のトニー・ブレア元首相は、首相退任後しばらくして、全世界を講演して回り、その講演集を出版した。このほか、英国では、サッチャー元首相とウィンストン・チャーチル元首相の講演集も、中国のどの書店にも並んでいる。
今回出版された「プーチン文集(2012―2014)」には、プーチン大統領が2012年から2014にかけて発表したマニフェスト、一般教書、講演、記者会見での回答など40本あまりの文章が収録されている。国際問題が専門の梅新育氏は、「同書は、ロシアの指導者の思想、考え方、政策観などをまとめたもので、全て原文のまま収められている。当然のことながら、中国政府の各級幹部、中国学術界やマスコミ、中国国民が、ロシアの状況、ロシア社会の動向、ロシア人の試行パターンや価値観などを理解する上で、重要な参考と成り得る。また、中国人投資家がロシアという国家やロシアが定める関連政策を理解する上での重要な拠り所ともなる」との見方を示した。