25周年を迎える今回のAPEC、一見すると政府首脳や政界要人だけ集まって気難しい協議をしているように思えるが、実際の内容は21の経済体と28億人がいかにより良い暮らしするか、という身近な事柄なのだ。10年以上前に、身分証と同じ大きさの「APECビジネストラベルカード」と英語で書かれたカードが中国で導入され、ビジネス関係者がAPECに参加する際の査証手続きの煩雑さを解消した。京華時報が伝えた。
このカードがあると3年以内は査証が不要で、専用の入国通路でスムーズな入管手続きが可能となる。同カードはAPECが地域内のビジネス関係者の交流の便宜を図るために1996年に発行された特殊な旅行証明書だ。APEC機関の外交部門や外事部門で申請が受理され、現在アジア太平洋地域で20万人以上がこのカードを所持している。2014年10月時点で、カード発行数は中国一国で4万枚を超えている。カード所持者の取引コストは平均で約40%、査証申請費用は27.8%減少した。
APEC地域内の国民にとって、現在最も大きく差し迫ったニーズは、この大きなコミュニティー内を自由に流動することだ。現在世界で最も混雑している国際線10路線のうち5路線、また最も人気の観光地10カ所のうち7カ所がアジア・太平洋地域にある。留学生が選ぶ国の上位4位のうちAPECメンバー国が3つを占め、また世界の投資対象国ベスト10のうち、APEC加盟国が6カ国占めている。
現在、このカードのハードルは引き下げられてており、企業を対象にした年間輸入額500万ドル以上、年間納税額500万元(約9358万円)以上という制限は取り消されている。これによりさらに多くの企業が同カードを利用して、国際市場への参加を深めている。
今回の会議期間中に、各経済体は同カードの有効期間を3年から5年に延長することで合意し、またカード所持者を留学や教育、科学技術、文化界関係者へ拡大する。アジア・太平洋地域のパートナーシップが深まるのにともない、この小さなカードがより多くの便利さをもたらすようになるだろう。(編集YH)
「人民網日本語版」2014年11月9日