今年は南京大虐殺の77周年にあたる。この30年間、南京大虐殺問題の研究に携わってきた日本駿河台大学法学部の井上久士教授はこのほどインタビューに応じ、「南京大虐殺は否定できない事実であり、日本は過去に犯した誤りを認め、反省と謝罪を行うしかない。こうすることでしか、日本の名誉を本当の意味で回復させることはできない」と述べた。人民日報海外版が伝えた。
井上氏はインタビューで、「旧日本軍が南京で捕虜や罪のない一般市民に対して殺戮行為を行ったことは事実である。しかも、南京のほかにも、中国の別の都市や村でも行われた。南京大虐殺はそのうち最も代表的な事件に過ぎない」と語った。井上氏は、南京大虐殺を否定する人は二派に分かれるという見方を示した。一つは、完全に南京大虐殺の事実を否定する人。もう一方は、南京大虐殺が起きたことは認めるが、被害者は数万人だけだったと考える人だ。
井上氏は、「完全に南京大虐殺を否定する人は調査研究を行わずに結論を出しており、学術研究分野から逸脱している。また、部分的に南京大虐殺を否定する論者は、あまりにも偏っており、資料の一部しか参照していない。埋葬記録など多くの項目資料などを総合的に見て、被害者人数などを理解するべきところを、単に一部の資料を切り取って、被害者は数千人、数万人だったとする調査方法はそれ自体問題がある」と語る。
長年、南京大虐殺を否定する人々と交流をしてきた経験から、井上氏はやるせない様子で、「南京大虐殺の論争問題について、日本の右翼と論争することはできない。右翼は、自分たちの観点と異なる書籍や意見など目に入っていないし、聞く耳を持たない。単に自分たちの考えをひたすら主張するだけだ。日本の学術界はかなり以前に南京大虐殺についての結論を出しているが、右翼が絶え間なく持論を主張するために、毎回事実を並べ立てて反論しなくてはならない」と述べた。
井上氏は、また日本のメディアは日本国民の歴史認識を歪めた責任を認めるべきだという見方を示した。「メディアの歴史問題の報道は不十分であり、中国に対する報道も客観性を欠いている。中国の反日デモやネガティブなニュースばかりに注目している。これらの報道は、知らぬ間に日本国民の意識に影響を与えている。このほか、日本のメディアの報道スタイルはある部分、日本国民の思想や意識の変化にも影響を受けている。中国が日本を追い越し世界の第二のエコノミーになったことで、経済や文化面で躍進する中国に対して日本国民は焦りを感じており、このような感情がゆがんだ形で歴史認識や中国への態度などに問題として現れている」。
井上氏は、「ヘイトスピーチを行う日本の右翼の行動は、世界に日本人の心が狭いことを認識させた。愛国者を自認する右翼だが、実際のところ日本の名声を落としていました。ドイツと日本は歴史問題に対して全く異なる態度をとっているし、欧州や日本社会は歴史に対する言論でも全く異なる態度をとっている。これは、日本の政治家や社会が退化していることを表している。日本社会は徐々に異なる文化や視点に対する寛容な心を失ってきている」と指摘した。
井上氏は、「中国が12月13日を南京大虐殺犠牲者国家追悼日としたのは、戦争の悲惨さを忘れず、それを後世に伝えることはもちろんのことだが、中国政府の歴史問題への重視を表している。それは、また南京大虐殺を否定する論者への警戒感の表れでもある」と述べた。(編集MZ)
「人民網日本語版」2014年12月15日