仏パリの同時多発テロから約1ヶ月が経過するが、過激派組織「イスラム国」のテロリズムの雲が、依然として欧州上空を覆っている。英・独両国の議会はこのほど、イスラム国掃討作戦に参加し、同盟国のフランスを支援することを決定した。
中国中東学会の殷罡副秘書長は、「英国とドイツのイスラム国掃討作戦の加入による影響は、軍事面ではなく政治面に集中する。イスラム国への空爆はすでに十分に行われており、地上戦が重要になっている。しかし各国は地上戦について検討していない」と話した。
イスラム国の空爆に参加し、これを支持するにせよ、英独の参加は実際の効果よりも象徴的な意味合いの方が強い。
中国国際問題研究院欧州研究所の崔洪建所長は、「英国とドイツはフランスのテロ事件発生から約1ヶ月後になり、ようやく作戦支持の反応を示した。これはイスラム国掃討の問題について、両国の動機が不十分であることを示している。両国は同問題で受動的になりたくないが、攻撃すれば報復されるかもしれないというジレンマに陥っている。これは作戦参加の程度に影響を及ぼす」と分析した。
2日の英国議会の討論で、キャメロン政権は反対の声に直面した。フランスのイスラム国掃討作戦の支援で得られる成果は限定的だが、英国により高いリスクをもたらすことになるというのだ。6日付英サンデー・タイムズ紙も、「英国がシリア空爆、イスラム国掃討を宣言してから、本土が直面するテロの脅威が深刻化している」と報じた。
長期的に海外派兵に慎重な態度を維持してきたドイツは、さらに懸念を深めている。
ロイター通信は、「ドイツは作戦に参与するが、補助的な役割を演じるに留まる。派遣した6機のトルネード偵察機は、主に空から地上を偵察し、攻撃・戦闘能力を持たない。別に派遣した護衛艦は、仏空母シャルル・ド・ゴールの護衛が目的だ」と報じた。
崔氏は、「ドイツが一歩目で大きく前進することはない。攻撃的な手段による支援を提供した場合、国内の憲法の枠組み内での合法性が疑問視されることになる。歴史的な要素の影響により、ドイツ政府の今回のイスラム国掃討作戦への参与は、象徴的な意味合いが強くなっている」と指摘した。
3カ国のうち、イスラム国のテロ攻撃の最も直接的かつ深刻な被害を受けているのはフランスだ。そのためフランスはイスラム国掃討の最も切実な需要を持ち、行動も最も積極的だ。
崔氏は、「道義的にも、国内の政治的な需要からも、世界の大国の地位を維持するためにも、フランスは国際社会によるイスラム国掃討作戦の中で積極的な役割を演じようとしている。しかしこの役割は、一つの難題に直面している。フランスが、ロシアと米国などの西側諸国の、シリア問題の政治的解決などの根本的な問題を巡る食い違いを調整できるかは不明だ」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年12月8日