韓国の聯合ニュースは24日、中国の王毅外交部長のASEAN3カ国歴訪を「中国は南中国海の係争で、新たな仲間を手にした」と評価した。王部長は21−23日、休むことなくブルネイ、カンボジア、ラオスの3カ国を歴訪し、南中国海問題を巡り3カ国と形成した4つのコンセンサスを、最終目的地で発表した。
ブルネイは王部長の最初の目的地だ。現地メディアは王部長の訪問に関する記事の中で、両国の協力がもたらす経済ボーナスの共有への期待感を示していた。香港紙『南華早報』は、「ブルネイは先ほど南中国海問題について、中国との係争は両国間で直接的に解決されるべきであり、他国の干渉には対処すべきだとしていた。フィリピンが南中国海の仲裁結果を発表する前、中国が外交の攻勢を強めるなか、このような意思表示がなされた。ブルネイの意思表示は、中国の非常に重要な成功だ」と報じた。
カンボジアのシハモニ国王、フン・セン首相、ホ・ナム・ホン副首相が王部長と各自会談した。インドネシアの英字紙『ジャカルタポスト』は、「カンボジアは中国の東南アジアにおける最も緊密なパートナーだ。双方は南中国海問題は外部の干渉を必要としないことで合意した。これは米国の南中国海の当事国に対する軍事支援を暗に指している」と報じた。
シンガポールのニュースチャンネル「チャンネルニュースアジア」は24日、「王部長は23日にラオスで記者会見を開いた際に、3カ国が南中国海問題で『重要なコンセンサス』を形成したと表明した。中国と3カ国は、南沙諸島の一部の島礁に関する係争は、中国とASEAN間の問題ではなく、双方の関係に影響を及ぼすべきではないとした。各国が国際法に基づき係争解決方法を自主的に選択する権利を尊重し、他国に一方的に押し付けるやり方に反対するとした。直接的な当事国が対話と協議により、領土・海洋の権益を巡る係争を解決することを堅持するとした。中国とASEAN諸国は南中国海の平和と安定を共に維持する能力があり、域外国は妨害するのではなく建設的な力を発揮すべきだとした」と紹介した。
聯合ニュースは、「これらのコンセンサスを見ると、南中国海問題で対抗姿勢を示すフィリピンやベトナムをけん制し、米日などの域外国による南中国海介入の意図を阻止しようとしていることが分かる」と報じた。国際時事雑誌『ザ・ディプロマット』は、「ASEANが南中国海問題で重要な役割を演じるべきだが、中立という一点を守らなければならない」と論じた。
中国社会科学院世界経済政治研究所国際戦略研究室長の薛力氏は、「米国は圧倒的な総合的実力、発言権、議題設定能力を利用し、南中国海問題で世論を操作し、中国に不利で不公平な世論環境を整えた。しかしASEAN諸国は、特定の立場を表明したがっていない。南中国海問題において、中国は国際的・道義的な支持、中立的な力を集めようと取り組んでいる。この4つのコンセンサスの形成を見ると、中国の努力が奏功し始めたことが分かる」と述べた。
薛氏は、「中国にせよASEANにせよ、南中国海で戦争が発生することを望まない。そのため平和的な手段による問題解決と、誰もが受け入れられる手段の模索が必要になっている」と話した。フィリピンによる南中国海の仲裁については、「世界の類似する例を見ると、大多数の国家間の問題は、このような国際仲裁によって解決されていない」と指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年4月26日