南中国海の仲裁、最大の敗者はASEANか

南中国海の仲裁、最大の敗者はASEANか。

タグ: 南中国海 フィリピン ASEAN

発信時間: 2016-06-20 13:54:46 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

フィリピンは南中国海の仲裁を申し立て、大きな賭けに出た。フィリピンは「ちっぽけな利益」を手にしてはいるが、その賭け金と比べれば「損な取引」だ。南中国海の利害関係者であるASEANは、本件から実質的な利益をなんら手にしていないばかりか、最大の敗者になる恐れがある。

南中国海の仲裁はASEANを分断し、内部の団結を損ね、加盟国間の政治的な相互信頼に影響を及ぼしている。ASEANの10の加盟国の間では、仲裁に対する観点が大きく異なっている。これはASEANの圧倒的多数の国にとって、仲裁が国家の重要な利益に関わらないからだ。ASEANの団結を維持するため、一部の国はASEANをひとまとめにし、仲裁に関する共同声明を発表し、ASEANの一致した体外的な態度を示そうとしている。しかし現実は厳しく、ASEANは統一的な立場を形成しがたい。仲裁はASEAN分断の種を植えた。

南中国海の仲裁はASEANを妨害し、ASEAN一体化の焦点をあいまいにし、その既定の目標に影響を及ぼしている。ASEAN一体化の計画によると、ASEANは2015−25年までに政治安全共同体・経済共同体・社会文化共同体の構築という3大目標を実現し、協力と発展がASEAN一体化の主軸となるはずだ。しかしASEAN一体化を議論する多国間の場において、仲裁は往々にして注目される議題になっている。これは融合に向かうASEANを分散化させており、ASEAN一体化に悪影響を及ぼしている。

南中国海の仲裁は、域外の大国を南中国海に引き寄せ、問題をエスカレートさせている。これにより南中国海問題は「地政学化」している。ASEANは立場の表明を迫られ、地政学的に気まずい境遇に置かれている。シンガポールのリー・クアンユー公共政策大学院の馬凱碩院長は、第11回中国―シンガポールフォーラムで、ASEANは「明朝の割れやすい花瓶」のようなものであり、大国の競争がこの「花瓶」を壊さないことを願うと述べた。しかし仲裁は駆け引きを展開しようとする大国の神経を刺激し、この「花瓶」を破壊しようとしている。

ASEANは東アジアで法人資格を持つ地域協力組織であり、南中国海の島礁の主権とはいかなる関係も持たない。しかしASEANは南中国海の平和と安定を維持する主な舞台として、問題解決に向け建設的な力を発揮してきた。1992年の「ASEAN南中国海宣言」から2002年の「南中国海各方行為宣言」に至るまで、ASEANは平和的な協議と協力の促進により、南中国海の平和と安定を維持することを主張してきた。フィリピンは一方的に仲裁を申し立てたが、これは「南中国海各方行為宣言」に背いており、ASEANという舞台をないがしろにしている。これはASEANに対する最大の裏切りだ。

中国は責任ある大国として、南中国海問題に対して常に自制を維持してきた。フィリピンに対してさえも、平和的な対話により南中国海問題を解決するという、中国の扉は常に開かれている。

傑出した人は時勢を知る。ASEANの一員であるフィリピンが、南中国海の仲裁をあくまでも強硬推進するならば、これは自国と他国を害する「茶番」に終わるだろう。(筆者:許利平 中国南海研究共同革新センター兼任研究員、中国社会科学院国家世界戦略シンクタンク研究員)

「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年6月20日

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