英国のEU離脱で全世界が混乱し方向を見失うなか、中国の習近平国家主席と訪中したロシアのプーチン大統領は25日、3つの重要な共同声明を発表した。うち「世界の戦略的安定の強化に関する共同声明」が特に注目されている。なぜなら中ロはこれまで、「世界の戦略的安定」に関する声明を発表したことがなかったからだ。「環球時報」が伝えた。
同声明は、世界の戦略的安定に影響を及ぼす消極的要素が世界各地で増加中であり、これに対して懸念しているとした。政治面では他国の政治への干渉に反対し、軍事面ではすべての国が軍事力を国家安全保障の需要の最低水準に留めるべきとした。この3つの声明はさらに名指しこそしなかったが、米国とその同盟国が南中国海、朝鮮半島、ウクライナなどの問題で、地域事業に干渉していることを批判した。
中国社会科学院ロシア・東欧・中央アジア研究所の呉恩遠研究員は、環球時報に対して「これは力強い声だ。中ロ首脳は今回、相手国の領土および核心的利益を相互支持することと、世界の覇権主義と単独行動主義に反対することを再確認した。中ロの戦略的関係は、何によって示されるのだろうか。今回の共同声明の調印は、これを示した」と指摘した。
中国国際戦略学会の王海運上席顧問は、環球時報に対して「今回の中ロ共同声明には、初めて世界の戦略的安定という言葉が出てきたが、これには注意が必要だ。世界の戦略的安定をめぐり、両国は米国の覇権に反対した。中ロはこの声明により、広く深みのある一致に至った。重大な国家戦略の問題について、両国の戦略協力は新たな段階に進んだ。今回の声明は米国の覇権的行為に向けられたもので、名指しこそしなかったが、他国の政権を崩壊させ、一方的な制裁を行うといった問題について具体的・直接的に言及している。米国が現在の情勢不安定の根源であり、中ロ両国はこの点について一致している」と分析した。
統計データによると、25日に発表された中ロ共同声明の中で、「支持」という言葉が18回使用された。26日付シンガポール紙ストレーツ・タイムズは、「習主席とプーチン大統領は会談後、3つの共同声明に調印した。また経済・貿易、外交、インフラ、技術革新、農業、金融、エネルギー、メディア、ネットワーク、スポーツなどの分野の30以上の協力文書の調印を見守った。ロ中双方は58件の経済・貿易協定について協議し、価値にして500億ドル規模にのぼる。これにはロシア国内の高速鉄道建設計画が含まれる」と報じた。
「中ロが同盟関係を深化」ドイツのテレビ局は26日、「中国とロシアは従来の意義の同盟関係ではない。しかし欧米の対ロ制裁、米国のアジア太平洋戦略により、この2つの大国の関係が緊密になっている。6月上旬、ロ中両国の軍艦が釣魚島周辺海域に同時に出現した。この共同行動は小規模だが、ロシアが東中国海の領土問題における中国の立場を支持することを示した。中ロはさらに共同声明を発表し、両国が超大国の米国による単独行動主義に反対することを表明した。将来的に、軍事面の協力もさらに掘り下げられるだろう」と報じた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年6月27日