78.1992年7月、マニラで開催された第25回ASEAN外相会議で、『南中国海問題に関するASEAN宣言』が発表された。中国はこの宣言で述べられている関係の原則に賛成の意を表した。中国は話し合いによって、南沙諸島の一部島嶼・礁に関する領土問題を平和的に解決することを一貫して主張していて、武力に訴えることに反対し、条件が整えば、関係国と「紛争棚上げ、共同開発」について話し合いたいと考える。
79.1995年8月、中比は共同発表した『中華人民共和国及びフィリピン共和国の南中国海問題とその他の分野の協力に関する協議の共同声明』で、「紛争は直接関係する国によって解決されるべきである」、「双方は順を追って協力を推進していき、最終的に話し合いによって双方の紛争を解決することを約束する」旨を示した。その後、中国とフィリピンは一連の二国間文書を通じて、二国間の話し合いにより南中国海問題を協議・解決するという共通認識を確認した。例えば1999年3月の『中国とフィリピン信頼醸成のワーキングチーム会議共同コミュニケ』、2000年5月の『中華人民共和国政府とフィリピン共和国政府の21世紀の二国間協力枠組みに関する共同声明』などがそれである。
80.2002年11月、中国はASEAN10カ国と『南中国海各方面行為宣言(DOC)』(以下、『宣言』と略す)に共同で署名した。各国は『宣言』で、「1982年の『海洋法に関する国際連合条約』を含む公認の国際法原則にのっとり、直接的関係を有する主権国家が友好的な協議と話し合いにより、それらの領土と管轄権紛争を平和的に解決し、武力行使あるいは互いの武力による威嚇には訴えない」と厳かに誓約した。
81.その後、中比は一連の二国間文書を通じて、各自が『宣言』で行った厳かな誓約を確認した。2004年9月の『中華人民共和国政府とフィリピン共和国政府の共同プレスコミュニケ』、2011年9月『中華人民共和国政府とフィリピン共和国政府の共同声明』などがそれである。
82.上述の中比両国の一連の二国間文書および『宣言』の関係規定は中比が南中国海をめぐる紛争の解決について達成した以下の共通認識と誓約を体現している。第一、関連の紛争は直接的関係を有する主権国家の間で解決するべきである。第二、関連の紛争は平等と相互尊重に基づき、話し合いによって平和的に解決する。第三、直接的関係を有する主権国家は、1982年の『海洋法に関する国際連合条約』などの公認の国際法の原則に基づき、「最終的に話し合いによって双方の紛争を解決する」。
83.中比双方は話し合いによる紛争解決を何度も重ねて表明し、関連の話し合いは直接的な関係を有する主権国家が行うべきであると何度も強調していて、上述の規定は明らかにいかなる第三者による紛争解決方式も排除する効果が生まれている。とりわけ、1995年の共同声明では、「最終的に話し合いによって双方の紛争を解決する」ことが定められていて、この「最終的」という言葉は明らかに「話し合い」が双方が選んだ唯一の紛争解決の方法であり、第三者による紛争解決手順を含む他のあらゆる方法が排除されていることを強調するためのものである。上述の共通認識と誓約は両国間において、第三者による紛争解決の方法で中比の南中国海をめぐる紛争を解決することを排除する合意を構成している。この合意は必ず順守されなけばならない。