北東アジアを漂う新たな冷戦の亡霊、その名はTHAAD

北東アジアを漂う新たな冷戦の亡霊、その名はTHAAD。

タグ: 北東アジア THAAD

発信時間: 2016-08-03 13:27:19 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

中国やロシアなどの国の強い反対を顧みず、米国と韓国は7月8日、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備を発表した。これに続き、韓国は7月13日、慶尚北道星州郡に2017年末までに配備すると発表した。米韓は明らかに不純な動機を持っており、かつ絶妙な時期を選んだ。両国は南中国海仲裁案が間もなく発表されるタイミングにTHAADの韓国配備を発表し、中国が両方面で対策に追われるうちにごまかし切ろうとした。この火事場泥棒のような小賢しいテクニックは、その後ろめたい下心を露呈するだけだ。

THAADの韓国配備、北東アジアの安全構造を変える

THAADは北東アジアを漂う新たな冷戦の亡霊で、北東アジアの今後の中心的な問題に変わり、国際社会の朝鮮半島非核化への注目を妨げるかもしれない。冷戦の最後の分厚い氷である北東アジアの安全構造はそもそも脆弱であるが、比較的平和で安定的な状況を維持してきた。THAADの朝鮮半島への降臨は、パンドラの箱を開けるようなもので、北東アジアの安全構造を変化させることは間違いない。半島の平和と安定は徐々に遠のき、先行きが危ぶまれる。

THAADは中国とロシアに対する重大な安全の脅威となるため、両国から反対されている。これほど明らかな挑発と強欲に対して、中ロが手をこまねいて見ているわけがない。中ロは今年5月、ロシア国防省でコンピューターを用いたミサイル防衛(MD)演習を行った。先ほど第4回中ロ北東アジア安全保障協議が、モスクワで開催された。双方は米国と韓国によるTHAAD配備が、中ロを含む地域内の諸国の戦略安全の利益を著しく損ねるとした。中ロは両国首脳のグローバル戦略安定の強化に関する共同声明に基づき、意思疎通を強化し、最も信頼できる効果的な手段により、両国の戦略・安全の利益を着実に守ることになる。

中韓関係、THAADで悪化も

筆者が韓国の友人と交流していた当時、韓国は自国の外交には独立・自主の原則があり、中国から米国の手下と見られるのは望まないと彼らは強調した。韓国は口先だけに留めるのではなく、実際の行動によりその自主性を証明するべきだ。韓国は現在、THAADに向けてドアを開いた。これは韓国が米国のミサイル防衛同盟の手先になったことを意味し、韓国の自主の原則を必然的に損ね、調整の余地を失わせる。これは半島問題で自主性を発揮するという韓国の目標に背いている。

THAAD配備という自国にとっても他国にとっても不利な行為は、中韓の相互信頼に大きなダメージをもたらす。1992年の国交樹立以来、中韓関係は各分野で飛躍的な発展を実現し、かつ中韓戦略的協力パートナー関係を構築した。両国首脳は2014年に、この関係の中身を充実化させるため、「4つのパートナー」(中韓両国を共同発展を実現するパートナー、地域の平和に尽力するパートナー、連携してアジアを振興するパートナー、世界の繁栄を促進するパートナーにする)という目標を打ち出した。今やTHAAD配備が発表されたが、中韓関係という船はそう簡単に転覆するのだろうか?これは韓国が中国側と向き合い、この友好を惜しむことができるかにかかっている。中国だけが前に向かい船をこぎ、韓国が後ろ向きにこぐならば、中韓関係の船は転覆の恐れがある。中韓戦略的協力パートナー関係も風雨にゆらぎ、再び失われることになるだろう。(筆者:阮宗沢 中国国際問題研究院常務副院長、研究員)

「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年8月3日

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