中国の習近平国家主席は3日、G20杭州サミットに出席するために中国を訪れたオバマ米大統領と会談を行った。双方は中米関係と共通の重大な関心事である国際・地域と世界的な問題について率直に、建設的に議論を交わし、一連の重要な合意に達した。中国外交部によると、会談での主な合意内容と成果は次の通り。
【一】中米の新型大国関係について
双方は、2013年6月の米カリフォルニア州サニーランズ会談以来、中米の新型大国関係には重要な進展が見られたとポジティブに評価。両首脳のコンセンサスに基づき、双方の関係構築に向けた努力を続けることで合意した。双方は、緊密なハイレベルの意見疎通と対話メカニズムを続け、戦略的相互信頼を強化し、2国間・地域・世界的なレベルでの協調と協力を深める。見解の相違や敏感な問題については建設的に管理コントロールし、中米関係の健全で安定した発展を促す。
【二】マクロ経済について
中米両国は、両国の経済が緊密に関わり合い、自国経済の発展と相手国の繁栄の相関性が高いことを認識している。両国経済の力強く持続的な成長に向けた基盤固めとなる政策は、両国国民の生活水準向上にとって非常に重要で、世界全体にもポジティブな影響を及ぼす。
(1)中米両国は金融、財政、構造的政策を含む全ての政策手段を総動員し、信頼感向上と成長促進を目指すことを約束する。金融政策については、経済活動支援と価格の安定確保を継続。中央銀行へ権限を与える方針も一致しているが、金融政策にのみ依存すれば均衡ある成長は実現できない。柔軟な財政政策により成長と雇用創出、国民の需要喚起を図り、構造改革の実行を支持すべき。
(2)中米両国は、「競争的な通貨切り下げを回避し、競争力強化を目的とした為替相場の目標設定を行わない」などの、G20での為替相場に関する約束を改めて強調。中国は、市場機能による為替相場への移行を順を追って進め、為替レートの双方向への変動について柔軟性を高める。中国は、人民元相場が継続的に下落する基礎的条件はないと強調。双方は政策での明確な意思疎通の重要性を認識している。
(3)米国は、経済成長けん引に果たす消費の基礎的役割の増強など、供給側の構造改革での中国の約束と成果を歓迎する。中国は、供給側の構造改革推進に断固として注力し、「過剰生産能力の削減、在庫の削減、デレバレッジ、弱点分野の補強、コスト削減」を重点的に推進、中国経済の持続可能な発展を促す。経済の安定成長と構造調整の両方に配慮し、消費拡大やGDPに占めるサービス業の割合拡大、質の高い個人投資を通じた需要拡大を図る。行政手続きの簡素化と権限委譲、政府の職能転換、金融改革の推進により、貸出の配分過程で市場がより決定的な役割を果たすことを促す。これとともに、サービス業の競争自由化、社会のセーフティーネットの強化を目指す。
(4)米国は、インフラ投資と国民貯蓄を含む国内投資を推進し、力強い、持続可能で均衡ある成長を進める。また、教育機会の拡大、移民制度改革、労働参加率や生産性の向上など、関連政策を重点的に進める。
(5)中国の財政政策は、内需拡大と構造改革支援で役割を発揮する。具体的な関連措置は、◇税負担軽減と費用の乱徴収抑制、◇リストラされた労働者の支援に向けた特別資金の準備、◇社会保険料率の段階的引き下げ、◇地方政府の債務リスク防止の強化、◇貧困者の支援、生態環境保護など経済社会の弱い分野の発展を促す、――など。これらの措置を基盤とし、中国は積極的な財政政策を継続し、構造改革を支援、総需要の適度な拡大を図る。
(6)米国は、予算管理での予見可能性の重要性と、財政予算の不確定性が米国や世界経済に与える影響を認識。中期的に政府財政の持続可能性実現に注力する方針だ。
(7)中国は、「供給側の構造改革の目的の1つは、企業のデレバレッジと関連の銀行業の試練への対処」だと認識する。これまでの進展を踏まえ、中国は包括的な戦略に基づき、国有企業改革を含む供給側の構造改革を深化。市場機能と法制度の役割を充分に発揮し、国有企業を含む企業債務の問題解決を図る。
(8)関連の改革が中国と世界経済に及ぼす影響を考慮し、中国は関連措置についての約束を改めて強調する。経済・金融政策の透明性と経済統計のアベイラビリティ(可用性)の改善を進め、世界範囲の監督管理者、政策策定者、企業、投資家のよりよい理解の促進を目指す。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年9月5日