主権免除、シンガポール装甲車事件の焦点に
主権免除、シンガポール装甲車事件の焦点に。
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「直ちにわが国の装甲車を返還せよ」シンガポールのウン・エンヘン国防相は9日、リー・シェンロン首相が、昨年11月から香港税関に差し押さえられているシンガポール軍の装甲車9両の返還を求め、香港の梁振英行政長官に書簡を送ったと述べた。本件は再び、物議をかもした。中国外交部の陸慷報道官は9日、「香港特別行政区は現在、関連法律・法規に基づき本件を処理している。関係者が言行を慎むことを願う」と述べた。
シンガポールのテレビ局は9日、ウン国防相が同日の国会答弁で、議員5人からの口頭質問を受けた際に「首相は梁氏への書簡の中で、シンガポールがこの装甲車の主権を持つことを強調し、香港に直ちに返還するよう求めた」と回答した。香港の公共放送局・香港電台によると、香港行政長官弁公室は9日、シンガポール首相からの書簡の受理を確認し、「香港税関は本件を調査中で、特区政府は香港の法に基づき処理する」と表明した。ウン国防相は、シンガポールは香港の回答を「歓迎」すると表明した。
ウン国防相は9日、「シンガポール側の法的立場によると、差し押さえられているシンガポールの装甲車と装備はシンガポール政府の財産だ。これらの装甲車は商船によって輸送されたが、シンガポールの主権保護を受け、国際法で認められている主権免除権を受ける。これが他国に差し押さえられたり、没収されることがあってはならない。この原則は国際法によって確立されており、香港特別行政区の法律によっても規定されている」と述べた。シンガポール華字紙・聯合早報は9日「国有資産は主権免除権を受ける。これは一国の資産が他国に差し押さえられたり、所有されるべきではないことを意味する。各国は平等かつ独立しており、一国が別の国の管轄下に置かれることはないからだ。この国際法の原則は各国・地区の裁判所に認められており、シンガポール、香港、英国も含まれる」と伝えた。
しかし香港の専門家は、これらの物資は民間企業によって輸送されていたが、同社には主権免除権がないと見ている。シンガポールのザ・ストレーツ・タイムズ紙は9日、ウン国防相の発言を引用し、「シンガポールはこの2ヶ月に渡り、弁護士や駐香港特区シンガポール総領事館などを通じ、多くの場でシンガポール側の立場を香港に伝えてきた。国際法の遵守は、過去50年間のアジアの平和と安定の礎だ。国際法により国は大小に関わらず相互信頼、相互協力、共同繁栄を確立している」と報じた。
シンガポール現地のサイト「Mothership9」は「中国がシンガポールの装甲車を差し押さえた件は、シンガポールの南中国海における立場、部隊の台湾での訓練に対する不満だと見なされている。シンガポール政府は現在、自国の立場を明らかにし、香港の法執行部門にボールを蹴り返した。ウン国防相は9日、シンガポール軍は輸送手続きをすでに全面的に見直しており、軍備が途中で『拉致』されないようにしていると表明した」と伝えた。ブルームバーグは9日「差し押さえ事件により、両国関係の緊張がエスカレートした。中国はこの数ヶ月に渡り、シンガポールと米国が中国の南中国海における行動に反対してきたことに、不満を抱いていた。シンガポールは最大の貿易相手国と論争する際に、優先的な二国間貿易・投資に専念できなくなる。またシンガポール政府が差し押さえられた装甲車を取り戻せなければ、国内で反発が生じる可能性がある。特に米国が中国から、差し押さえられた潜水艇を取り戻したことを考えるとなおさらだ」と論じた。
「中国網日本語版（チャイナネット）」2017年1月10日
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