間もなく中国の春節(旧正月)だが、韓国の観光業界は不安をつのらせている。18日付ハンギョレ新聞によると、中国は今年韓国行きのチャーター便を認めず、訪韓旅行の規制を実施している。韓国の業界内では、中国人客が今年、前年比20%ほど減少すると見積もられている。これはTHAADの韓国配備に対する報復措置と見なされている。
韓国の観光業界の関係者は「団体旅行商品は連休中、チャーター便により売ることが出来る。チャーター便が認められなければ、売上が大幅に減少する。中国政府はTHAADに直接報復しておらず、低価格の旅行商品の質を口実に、自国の旅行会社に圧力をかけている。中国の旅行会社に依存する韓国の旅行会社は、どうすることもできなくなっている」と話す。
訪韓中国人客は2010年より増加を続け、2013年より日本を上回るようになった。2015年には中東呼吸器症候群が発生し、観光客数が大幅に減少したが、2016年より急増を示している。韓国がTHAAD配備を決定すると、中国は対抗策を講じ始めた。韓流ドラマの中国輸出が滞り、化粧品メーカーの株価が暴落し、免税店の売上も伸び悩んでいる。
韓国の旅行会社の関係者は「大型免税店は観光客を確保するため、中国の旅行会社と直接取引し、優遇している。韓国国内の旅行会社は損失を被っているが、どうすることもできず、赤字を覚悟するしかない」と述べた。
韓国では、観光業は最近の状況をきっかけとし、中国人客への過度な依存を弱めるよう主張する声がある。韓国旅行業協会会長は「2014年より中国人客のみを重視するマーケティングが深刻化し、成長を続ける東南アジア客が冷遇された。外交問題による業界全体の激震を回避するため、観光客の多様化を促進する必要がある」と指摘した。
韓国の政治家とメディアは中国の間接的な報復措置について言及しているが、中国外交部の耿爽報道官は「中国はTHAAD問題で深刻な懸念と断固たる反対を表した。この立場に変わりはない。中国側は両国間の経済貿易協力と人文交流に対して、積極的かつ開放的な態度を持つが、この協力と交流には民意の基礎が必要だ。韓国側がTHAAD配備を直ちに停止し、間違った道を歩み続けることを避けるよう願う。中国側は韓国側と接触を維持し、意思疎通と協議により相互の関心事に配慮できる、適切な解決策を見いだすことを願う」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年1月20日