米国のトランプ大統領に注目していた人々は現在、もう一人の重要人物、ホワイトハウス首席戦略官のスティーブ・バノン氏にゆっくりと視線を移している。米国メディアはさらに「影の大統領」「バノン大統領」と呼んでいる。一部メディアは、イスラム教入国禁止令を制定したのはバノン氏であり、真の大統領は彼だと報じた。
トランプ大統領の業務中の写真には、常にバノン氏の姿がある。確かにバノン氏は、トランプ大統領の就任演説の原稿を作成した。大統領選では、トランプ陣営の軸になった。トランプ氏に対して、連邦最高裁判事に保守派のゴーサッチ氏を指名するよう促した。最近世界を騒然とさせているイスラム教入国禁止令も、バノン氏が制定したと見られている。
タイム誌は「バノン氏が世界で2番目に影響力を持つ人物に?」と題した記事で、バノン氏が今やどこにでも姿を現すようになったと伝えた。一部の米国メディアはさらに、「バノン大統領」と呼んでいる。
新華網の報道によると、トランプ大統領は先ほど、ホワイトハウスの内外に衝撃をもたらした。国家安全保障会議(NSC)の構成を変更する際に、バノン氏を常任にしたのだ。さらに統合参謀本部議長と国家情報長官を「その職責・専門に合致する議題」にしか参与させないとした。
NSCには長年に渡り、明らかな政治的立場を持つ人物を常任しないという、明文化されていないルールがあった。バノン氏は政治面で急進的な観点を持ち、かつ豊富な外交・国家安全の経験を持たない。トランプ大統領に上賓として祭り上げられたことは、バノン氏のホワイトハウス内の安全面の影響力が、その他の閣僚を上回っていることを十分に示した。しかしこれはその他の高官の不満を引き起こしている。民主党議員50人が3日、連名でトランプ大統領に書簡を送り、外交政策の経験がない首席戦略官のバノン氏をNSCに加えた理由の説明を求めた。
バノン氏は大権を手にしたが、自身の権力の基盤を固めている。米メディア「デイリー・ビースト」によると、現在のホワイトハウスの権力はバノン氏と、トランプ大統領の婿であるクシュナー氏に徐々に移っているという。バノン氏とクシュナー氏は先ほどホワイトハウス内でSIGと呼ばれる機関を設立した。政治アナリストは、SIG設立の真の目的は、ホワイトハウスの権力と影響力を握る機関を作り、NSCなどの伝統的な諮問機関に代わり、大統領の方針決定を左右するためと分析している。
ワシントン・ポスト(電子版)は2日「ホワイトハウスの内外、だれがバノン氏を阻めるか」と題した記事で、悲観的な結論を下した。バノン氏はライバルを上回る策略家で、今のところ彼を阻める者は誰もいないというのだ。ドイツのテレビ局は「バノン氏を読み解くことが、重要な任務だ」と報じた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年2月9日