米国のティラーソン国務長官が昨晩日本に到着し、就任後初の東アジア歴訪を開始した。日本、韓国、中国の順にすることで、米国と日韓の同盟関係を強調してから、中国を訪問する。しかし最も重要な話題は、米国と中国の間にある。
ティラーソン長官の今回の東アジア歴訪には、大きな背景がある。まずは朝鮮半島情勢が近年まれに見るほど緊張化しており、口先での恫喝の段階に移っているほどだ。次に習近平国家主席とトランプ大統領が4月に米国で首脳会談を開き、中米関係の基調を定める可能性がある。ティラーソン長官はさらに東アジアで「あいさつ回り」をし、状況を知ることができる。
この3カ国でティラーソン長官は、米国と各国の二国間関係について協議する。うち中米二国間関係は、当然ながら最も重要だ。中国を除けば、どこに行っても朝鮮の核問題について言及するだろう。比べてみると、ティラーソン長官は韓国でそれほど協議すべきことはない。マティス国防長官が先ほど韓国を訪問したばかりで、安全問題については協議しており、ティラーソン長官が新たに何かを発言することはない。日本とは貿易について話すだろうが、安倍首相がすでに訪米しており、ティラーソン長官の任務はそれほど重要ではない。
中米は異なる。トランプ政権の対中政策は未だ不明瞭で、双方は互いに探りを入れ、最大限に相手側に影響を及ぼそうと試みる段階だ。中米首脳会談の開催前、双方が気を緩めることはない。首脳会談後には、今後4年間の中米の付き合い方が基本的に形成されるだろう。
米国はこのほど、中国と「結果を目指す建設的な関係」を発展させるという新たな表現を用いた。米国側はまだ十分に説明していないが、一部の専門家によると、いわゆる「結果」とは中国が経済・貿易面で米国側に利益を譲ることだ。「建設的」とはこの過程が消極的な駆け引きや対抗ではなく、双方が受け入れる過程にすることを意味する可能性がある。
米国は過程を緩やかにしたいのかもしれないが、これが米国にとって有利な結果を割り引かせることはない。そのためこの表現には、高圧的な意味が含まれている。
中国は相手側に態度を示すべきだ。建設的な過程は建設的な結果と一致しなければならない。米国側の利益は協力とウィンウィンによってしか実現できず、中国を損ねることで米国を肥やすことに期待するべきではない。
我々はトランプ政権に対して、ウィンウィンはグローバル化の時代における唯一の法則であり、米国が一人勝ちするという局面は誰も実現できないことを、はっきり分からせる必要がある。市場経済が全世界に浸透しており、中米が共に米国に有利な国家関係を構築しようとしても、それは不可能だ。中国の市場と企業はそのような計画を受け入れない。日韓にしてもそうだ。
トランプ政権は多くの資本を世界各地から米国に戻すことができるが、これらの資本は回帰した後に活力を失うだろう。現在形成されている資本の流れと産業の分業は自然に形成されたものだ。国がほんの少し干渉したとしても、それは国家の政治としての最低限の取り組み、各国政府の国家経済に対する責任に過ぎない。
トランプ政権には、自分たちの考えが正しいと思い込む傾向がある。例えば中国は為替操作国と批判し、元安を促していると断言している。中国の一般庶民であっても、政府が人民元相場を安定させ、大幅な元安を防止するため取り組んでいることを知っている。米国はまた当然のように、経済法則を超越し、中国から利益を得ようとしている。
中国経済は近年、米国を上回るペースで発展している。これには構造的な原因があるが、中国人の方が勤勉であるという理由もある。東アジア社会全体が、欧米社会よりも苦しみに耐えることができる。トランプ政権は各国に「朝貢」させようとするのではなく、米国内のメカニズムに「米国を再び偉大にさせる」ための突破口を見いだすべきだ。
朝鮮の核兵器と南中国海の問題で、米国は自国の理屈が最も正しいと考えるべきではない。米国は中国の利益と態度を尊重しなければならない。これは中国が米国の利益と態度を尊重するのと同じだ。この2つの地政学的要素は中国と密接に結びついている。中国は周辺情勢の混乱による損失を被りやすいが、重要な時期に周辺問題に介入する強い決意を持つ。これはどの大国であっても同様であり、中国は少しも特殊ではない。トランプ政権は真剣に検討するべきだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年3月16日