高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)に反対する初のドキュメンタリー映画が22日、韓国で初上映され注目を集めた。本作はTHAAD配備先である星州の住民による1年弱に渡る抗議活動、THAAD韓国配備がもたらした苦しみを記録した。
【主演の叫び、観客の心を揺さぶる】
本作は韓国人の朴文七監督(音訳)がメガホンを取り、上映時間は93分。韓国と米国が2016年7月にTHAAD配備を決定してから、韓国慶尚北道星州の住民が配備に反対し続ける苦しい過程に着目した。朴監督は星州でTHAAD配備に反対する母親にカメラを向け、彼女たちが平和を象徴するブルーリボンを作るところから、THAADの脅威から子供たちの未来を守ろうとする物語を撮影した。
本作は母親の心の変化を示した。彼女たちは当初、THAADの放射線の危害のみを懸念していたが、闘争の深まりにつれ政治に関心がなかった母親たちは徐々に、THAADがより複雑な国際関係に関わることを意識していった。THAADという無用の長物は星州だけではなく、韓国のどの場所にも配備されるべきではないと。
本人と事実を記録しているため、分かりやすい内容となっている。そのうち助けを求めるシーンが、特に涙を誘う。ある母親は娘を連れ、カメラの前で跪き大声で泣き、「子供と家族の未来のため、私たちを助けてください」と叫んだ。
ソウルでは同日、十数館で上映された。
【宣伝費が不足も高評価】
本作は今年5月、全州国際映画祭でドキュメンタリー賞を受賞した。当時はTHAADの韓国電撃配備の時期だったため、多くの観客が鑑賞後に涙を流した。制作費と宣伝費に余裕はなかったが、業界から評価される妨げにはならなかった。
本作はさらに、韓国の政界でTHAAD配備に反対する関係者から評価された。前回の大統領選にも出馬した韓国の有名政治家、城南市長の李在明氏は本作を高く評価し、事態の深刻さを意識する人が増え、現状を変えようと皆で取り組むきっかけになればと述べた。韓国・正義党の金鐘大議員は「本作は星州の市民が1年弱に渡りTHAAD配備に反対した歩みを活き活きと記録している。本作はTHAADの韓国配備が、星州の市民にどのような苦しみをもたらすか、彼らがどのように戦ったかを教えてくれる」と話した。
朴監督はこれに先立つ試写会で、本作を通じて生活とは政治であり、政治とは生活であることを観客に伝えたいと話していた。国民のTHAAD問題への関心を呼び覚まし、旧時代の悪いならわしを清算したいと述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年6月23日