中国の力強い発展は近年、全世界から注目を集めており、「中国の衝撃」「中国が世界を統治」「中国モデル」などが叫ばれるようになった。特にトランプ大統領就任後の、TPP・パリ協定離脱や保護主義の各種措置を受け、全世界が中国に視線を向け直している。中国が米国の代わりに世界の指導者になるという声が高まり、ホットな話題になっている。
世界をけん引し、世界を指導する
イェール大学の有名な歴史学者、ポール・ケネディ氏は著書『大国の興亡』の中で、歴史上の大国の盛衰を左右したのは、技術の進歩と組織の変革だとしている。一国が世界のリーダーシップを担うためには、まず時代のヘッドシップを担い、実務を担当し先頭に立つ必要がある。
中国の近年の外交における「義と利を兼ね備え、義を優先する」という観点は、この知恵の現代の結晶であり、世界の追随者を集める中国の力強い思想でもある。この論理は短期間内に、世界で苦しむ多くの人々の共鳴を生むことはできないが、中国が世界との関係を処理する際にこれを貫き続ければ、自ずと世界のリーダーとしての地位を形成するだろう。
中国はリーダーシップを発揮すべき
主に国力の不足を理由に中国が世界をけん引できるかを疑問視し、中国が長期的に世界の大国としての米国の地位を越えられないと考える人も多いだろう。実を言えば、これは「米国恐怖症」だ。米国を深く理解している人ほど米国の強さを認識し、これが長期化すれば自ずと「米国依存」「米国恐怖」さらには「米国美化」という発想が形成される。
確かに米国は今日も強く、中国が全面的に超越するのは時期尚早だ。しかし逆に考えると、国力で全面的に米国を超える、もしくは大差をつけなければ「リーダー」になれないならば、現時点で「リーダー」について論じることにどんな意義があるだろうか。これは典型的な「実力決定論」であり、これが正しければ「官渡の戦い」のような弱者が強者に勝つ典型的な例は存在しなかっただろう。
総合的に考えると、中国はまず世界を率いる強みを示すべきだ。世界経済の「統一戦線」の形成により世界共同発展の力を集め、中国が世界を率いる社会的基礎を固め続けるべきだ。
実際に中国は多くの分野で強みを見せている。これには高速鉄道、原発、宇宙、エネルギー、インターネットなどが含まれる。世界トップ500社に入選する中国企業が増えており、各社はすでに世界をけん引する役割を果たしている。我々は各社がさらに大きな力を発揮することを支持するべきだ。中国の世界的な役割とは、中国が主観的に準備が整っているかではなく、客観的な流れによって決まる。(筆者:趙可金 清華大学グローバル共同発展研究院副院長)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年7月9日