国家深海基地管理センター副チーフエンジニアの丁忠軍氏は青島市で8日、有人潜水艇「蛟竜号」が2020年6月から2021年6月にかけて世界一周航行を実施すると発表した。具体的な航路は最終決定されていないが、南中国海という中国の深海研究にとって戦略的意義を持つ重要エリアは、任務で必ず通過する場になるだろう。
中国が初めて自主開発した深海潜水艇である蛟竜号は、2020年6月より1年間の地球一周航行を開始する。世界主要海域で潜水任務を遂行し、「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)主要国に停泊する。今回の地球一周航行は、太平洋、インド洋、大西洋に跨る。具体的な航路については最終決定されていない。丁氏は環球時報の記者に対して、「今回の主要任務には、深海鉱区の観測と深海環境の保護研究、それから深海科学分野の国際共同研究が含まれる。南中国海では海底資源の試験採掘のほか、メタンハイドレートの研究など国家科学技術計画に向け積極的に技術サポートを行う」と説明した。
蛟竜号の新型母船は2019年3月頃に交付される。母船は蛟竜号、「海竜号」、「潜竜号」を搭載し、共同作業を展開する。
丁氏は「蛟竜号、無人潜水艇の海竜号、自律型無人潜水艇の潜竜号による『三竜』深海装備品が中国の深海探査を支え、より効率的な手段によってより直観的で質の高いデータを提供する。蛟竜号の現在の南中国海における任務計画は、深海資源の試験採掘及び調査・開発作業だ。中国は近年、ベトナムやインドネシアなどの南中国海周辺諸国と海洋探査技術の交流・普及活動を積極的に展開し、地域内の深海潜水艇技術の交流を推進している。また各国の深海探査技術の更新に向け、良好な交流環境を提供している」と述べた。
中国南中国海研究院の専門家である陳相秒氏は、環球時報の記者に対して「蛟竜号は南中国海で何度も科学研究任務を遂行している。科学研究は中国が領土・権益を主張する重要な手段になっている。世界一周航行は、中国が南中国海諸国に深海探査サービスを提供する能力があることを示し、南中国海の科学研究と共同開発を促進することになる。南中国海の開発は現在、主に漁業に集中している。銅、マンガンなどの鉱産物資源については、さらなる調査と開発が必要だ。南中国海情勢が緩和するなか、各国はチャンスをつかみ地域の共同開発と研究を推進するべきだ」と話した。
蛟竜号は世界一周航行で、一帯一路の主要国に停泊することで、一帯一路関連国の深海研究分野の協力を新たな段階に押し上げる。丁氏は「今回の地球一周航行により、一帯一路関連国は中国の深海研究の成果を共有し、深海科学への認識を深める。さらに各国が有人深海潜水技術の協力と技術交流を推進することになる」と述べた。
国家深海基地管理センターのウェブサイトによると、蛟竜号は2012年の試験的応用以降、南中国海、東太平洋多金属団塊探査エリア、南西インド洋海嶺多金属硫化物探査エリア、西太平洋マリアナ海溝など7大海域で158回の潜水に成功している。安全性・信頼性・先進性が十分に検証されている。中国は関連計画に基づき、「七竜海洋探査」立体深海探査ネットワークの構築を続ける。既存の「三竜海洋探査」を踏まえ、深海掘削の「深竜号」、深海開発の「鯤竜号」、海洋データクラウドコンピューティングの「雲竜号」、立体深海科学探査サポートプラットフォームの「竜宮」を追加し、十分な海洋研究・開発を継続する。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年5月9日