G7に不協和音も、解体には至らず

G7に不協和音も、解体には至らず。

タグ:G7 食い違い

発信時間:2018-06-11 15:20:33 | チャイナネット | 編集者にメールを送る


 主要7カ国首脳会議(G7サミット)は、食い違いを残しながら閉幕した。サミット開催を控え、米国とその他の6カ国は貿易戦争を展開していた。トランプ政権は伝統的な大西洋を跨ぐパートナーシップの感情に配慮せず、EU、カナダ、日本を対象に鉄鋼・アルミ製品の追加関税を導入した。この措置はその他の加盟国から不興を買った。彼らは一致団結し、米国政府の不誠実さを批判した。メディアは「仏独首脳、トランプ氏を睨む」と題した写真を公開し、トランプ氏が6人のメンバーから「包囲」され、G7が解体される可能性もあると伝えた。


 米国とEUの関係悪化は、トランプ政権に入ってからのことではない。EUは冷戦終結後、独立・自主の外交・安全政策を開始した。ブッシュ政権時代、独仏両国は米国によるイラク戦争発動に反対したことで、米国人から「欧州の年寄り」と皮肉られた。米国はオバマ政権時代にEUの同盟国を冷たく扱い、大西洋を跨ぐパートナーシップから遠ざかっていった。トランプ政権になると、米国・EU関係の齟齬が続き、食い違いが深まっている。


 政治理念を見ると、トランプ氏は外交で「米国ファースト」という原則を貫いており、国家関係処理のゼロサム的発想は保守主義、孤立主義の色彩を帯びることが多い。TPP、パリ協定、イラン核合意から離脱した。エルサレムをイスラエルの首都として認めた。EU、カナダ、メキシコから輸入する鉄鋼・アルミ製品に25%・15%の追加関税を導入すると発表した。これらの動きはトランプ氏の一国主義、保護貿易主義の特徴を露呈している。独断専行が米国の現政権の外交の常態になっている。


 ドイツのメルケル首相は1年前、G7サミット閉幕後に「EUはもはや米国と英国に完全に依存することはできない。欧州人の運命は、自分たちの手で握らなければならない」と感慨深く話した。EUの同盟国は現在、トランプ氏の過度に自己中心的なやり方に憤っている。しかし客観的にこの米国・EU貿易紛争を見ると、その他のG7加盟国がトランプ氏に大きな不満を持ち、過度に反応を示しているからと言って、大西洋を跨ぐパートナーシップの溝が深まり、G7が形骸化し解体に向かうと断言することはできない。


 G7は第二次大戦後に米国と欧州が打ち立てた重要な多国間組織であり、世界経済・国際政治の覇権の主導を維持することを目的としている。米ソ冷戦時代、世界石油危機で重要な力を発揮したことがある。国際構造の大きな変化により西側世界の覇者としての地位が脅かされ、G7の現代における中心的な影響力が大きく損なわれている。しかしG7は古い国際秩序の「守護神」、西側諸国が自国の利益を共に守るための大きなツールである。そのためG7に政治的な亀裂や経済的利益をめぐる衝突が生じたとしても、あっさりと解体や終了に向かうことはない。


 G7の解体は西側先進国にとってメリットがなく、むしろ古い国際秩序が打破されない限り、壊滅的な影響が生じる。


 トランプ氏のEUへの態度は変わっており、西側の多国間体制を破壊すると懸念されている。しかしトランプ氏の二転三転する政治的理念と手法には限度があり、G7のその他の加盟国に大きな損失をもたらしがたい。G7の関係を維持する伝統的な紐帯である共通の価値観、経済的利益に断裂が生じなければ、G7内部の不協和音は一時的なものだ。(筆者・趙俊傑 中国社会科学院欧州研究所研究員)




 「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年6月11日



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