米CNNウェブサイトの報道によると、米国は現地時間火曜日、25%の関税を上乗せする160億ドル相当の中国製品のリストを発表した。対象となるのはオートバイ、走行距離計、アンテナなど279品目で、23日に発動する。人民日報海外版が伝えた。
■軽々しく開いた戦端、結末は計り知れず
米国の行動を国際組織は憂慮している。国際通貨基金(IMF)は米国の他国との貿易戦争で、2020年に世界経済の成長率が0.5%下がり、世界のGDPが約4300億ドルの損失をこうむる可能性を警告。経済協力開発機構(OECD)も中国・米国・EUの関税コストが10%上がった場合、世界のGDPを1.4%引き下げると警告した。
外国メディアも貿易戦争の恐ろしい結末を一様に憂慮している。ロシア・スプートニクの論説員は、米国の一方的な保護主義を厳しく非難。米中の貿易衝突が世界経済の低迷を招く恐れを警告した。英紙ガーディアンは、米政府の仕掛けた貿易戦争は悪い結末を招き、他の国々にも災いを及ぼすだろうと強調した。米CBSウェブサイトは、貿易戦争がひとたび悪化すれば状況は収拾困難になるとの認識を示した。
最もまずいのは、世界の市場の信頼への深刻な打撃だ。英紙ガーディアンはオックスフォード・エコノミクスの研究結果として、米国の追加関税がもたらす不確定性とリスクの高まりは、ビジネスの信頼と投資、特に海外投資に影響を与えると報じた。米側の手法は中米両国及び他の地域の経済成長に影響を及ぼす。
ロイター通信の最新の調査では、アナリスト150人中4分の3近くが、保護貿易主義は来年世界経済の成長に深刻な悪影響を与えるとの考えを示した。すでに貿易障壁が高くなり、信頼が悪化していることがその根拠だ。
■ルールを壊し、世界を撹乱
米スタンフォード大学の政治学者、フランシス・フクヤマ氏は最近、日本の毎日新聞の記事「揺らぐ戦後国際秩序」で、「米トランプ政権の保護主義的な関税政策が主要国との貿易戦争の様相を呈している。第2次大戦後の『リベラルな国際秩序』が揺らいでいる」と指摘。「米国は過去50年にわたって、自由主義に基づく国際秩序を作り出し、それを支えてきた。今、それをおびやかしている最大の脅威はトランプ米大統領だ」とした。世界貿易機関(WTO)前事務局長のラミー氏は毎日新聞のインタビューに「米国の貿易戦争は時代錯誤だ」と指摘。「私が欧州委員会委員(貿易担当)だった10数年前にも貿易摩擦はあった。だがトランプ政権が仕掛ける今回の『貿易戦争』は前例がない。国の安全が脅かされていることを理由に輸入を制限するのはWTOルール違反だ」とした。
ロシア紙「コメルサント」は論説で「中国製品に対する関税上乗せというトランプ政権の発表は、前後で矛盾する言動と無責任さの表れだ。米国の行動によって保護貿易主義のバルブが開かれた。これは世界貿易の自由化の発展にマイナスだ」とした。(編集NA)
「人民網日本語版」2018年8月9日