ジョセフ・ナイ氏の独占インタビュー 競争しあう中米間に、協力がもっと必要

ジョセフ・ナイ氏の独占インタビュー 競争しあう中米間に、協力がもっと必要。

タグ:貿易戦争 スマートパワー 人類運命共同体

発信時間:2019-01-14 10:48:12 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 

 米国の有名な国際政治学者、ハーバード大学ケネディースクール教授のジョセフ・ナイ氏が、王暁輝・中国網編集長の独占インタビューに応じた。



 王暁輝氏:ジョセフ・ナイ教授、ようこそ北京にお越しくださいました。中国網のインタビューを受けてくださりありがとうございます。教授は有名な国際関係学者であり、クリントン政権で国際事業と国家安全を担当したキーマンです。まずは一般的なことをお聞きしたいのですが、教授は現在の中国と米国の関係をどのように見ていますか。


 ジョセフ・ナイ氏:中米関係は苦しい時期を迎えています。人々は貿易戦争に非常に関心を寄せており、両国が貿易問題で合意に至れるかに関心を寄せています。しかし実際の状況はもっと複雑です。ヒラリー・クリントン氏が大統領選に勝っていた場合でも、中米関係は困難に直面していたでしょう。言い換えるならば、問題はトランプ氏だけにあるわけではありません。トランプ氏はただ、事をもっと面倒にしただけです。ワシントンにおいて、共和党も民主党も実際には、中国は公平な競争を、真の互恵・ウィンウィンを行っていないと考えています。トランプ政権が発足する前に、このようなムードはすでに存在していました。トランプ氏がやって来て、そもそもあった火に油を注いだようなものです。そのためこの火が今になり勢いを増してはいますが、実際にはこの火はすでに存在していたのです。


 王暁輝氏:中米関係が「貿易戦争」もしくは「冷戦」により膠着状態に陥っている、さらには両国が戦争に向かいつつあるという見方もあります。教授は中米両国に、現在の局面を切り開く勇気と知恵があると思いますか。


 ジョセフ・ナイ氏:私は中米両国間で戦争が勃発するとは思わず、両国が冷戦に向かうとも思いません。米ソの冷戦を振り返ると、両国間に貿易の交流や社会的な接触がなかったことに気づくでしょう。しかし中米間には大規模な貿易があります。現在は中国人留学生37万人が米国で学習しています。両国間ではまた多くの観光客が行き来しています。これは冷戦のようではありません。我々は「冷戦」という言葉を使うべきではないのです。私は現在の状況を「協力的競争」と呼んでいます。


 王暁輝氏:これは教授の言葉ですね。


 ジョセフ・ナイ氏:そうです、私はこのように表現します。両国間に競争が存在しても協力が可能であることを意識してもらいたいのです。また中米関係の動向を協力に向かわせることが極めて重要です。気候変動、金融安定、伝染病への対応などで中国と協力しなければ、米国はこれらの問題を解消できません。逆もまた然りです。このように考えれば、その通りだ、両国関係が緊張することがあっても、協力を展開する必要があると考えるでしょう。

 

 王暁輝氏:「協力的競争」とは素晴らしい言葉です。ありがとうございます。教授は「ソフトパワー」と「スマートパワー」という言葉を提示しましたが、私はこの2つの概念を非常に高く評価しています。中国は世界2位の経済国であり、国際舞台でますます重要な役割を演じています。教授は中国が自国のソフトパワーとスマートパワーを活用し、世界に中国をより良く理解してもらうにはどうするべきと考えていますか。

 

 ジョセフ・ナイ氏:「スマートパワー」とは魅力、強制力、経済の実力などを巧妙に結びつける能力のことを指します。胡錦濤氏は2007年の中国共産党第十七回全国代表大会にて、中国は国の文化的なソフトパワーを強化すべきと述べました。これは非常に賢明な決定だと考えています。中国のハードパワー、すなわち経済・軍事力が成長中であり、同時に自国の魅力とソフトパワーを高めることができれば、他国に受け入れられることがいっそう容易になるからです。そのためこの点について、中国はソフトパワー戦略を推進してきたことになります。


 王暁輝氏:トランプ大統領の「米国ファースト」という方針、それから米国の国際協定からの相次ぐ離脱という背景がありますが、教授は米国の過去2年のソフトパワーをどのように評価しますか。トランプ氏の政策は米国のソフトパワーを弱めましたか。


 ジョセフ・ナイ氏:私はトランプ大統領が米国のソフトパワーを間違いなく弱めたと考えています。これは世論調査からもうかがい知ることができます。「米国ファースト」というスローガンにより、すべての他国は米国に屈するという感覚を持ちます。そのためこのスローガンは国内の世論にとっては有利かもしれませんが、国際的な世論にとっては間違いなく非常に悪いスローガンです。そのため私は、トランプ氏が米国のソフトパワーを弱めたと言えます。英国の調査会社が発表した「ソフトパワートップ30」指数によると、トランプ氏が大統領選に勝利してから、米国の順位は数年前の1位から3、4位に落ちました。


 王暁輝氏:習近平主席が掲げる人類運命共同体という概念をどのように見ていますか。

 

 ジョセフ・ナイ氏:これは非常に素晴らしい概念だと思っています。気候変動という問題について、トランプ大統領は米国をパリ協定から離脱させるという大きなミスを犯しました。しかし気候変動は政治的な法則によって変化するのではなく、物理的な法則に従っています。時の流れにより、気候変動は中国に害を与え、米国にも害を与えます。私たちは相互協力を模索し、他国と協力するため取り組む必要があります。私は習近平主席が掲げる人類運命共同体とは、このような協力を分かりやすく説明していると思います。これは全人類にとって必要不可欠です。私は時に、私たちが学習すべきは他者を凌駕する能力ではなく、他者と共に仕事をする能力、すなわち協力の能力だと主張します。

 

 王暁輝氏:分かりました、ありがとうございます。中国は先月、改革開放40周年を祝ったばかりです。今年(2019年)は中華人民共和国成立70周年です。あと20日ほどすれば、私たちは伝統的な祝日、旧正月(春節)を祝うことになります。中国のネットユーザーに何かコメントはありますか。


 ジョセフ・ナイ氏:中国には誇るべき多くのことがあります。中国の数億の人口が貧困から脱却しました。これは中国にとって良いことであり、全人類にとっても良いことです。私はこれが続くことを願っています。前の年に別れを告げ、新しい年を迎える今、私は皆さんが中国と全人類にとって有益なことをするよう願います。

 

 「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年1月14日

 

 

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