「1日で130人増加し、その日のうちに2人の感染が確定した」「医学観察中の無症状感染者の7割が湖北省にいる」――中国国家衛生健康委員会は1日、新型コロナウイルス無症状感染者の報告、症状の変化、管理に関する状況を初めて発表した。
北京大学第一医院感染疾病科主任の王貴強氏は、「感染対策の全体から見ると、新規無症状感染者の報告には積極的な意義がある。これにより関係者は無症状感染者のスクリーニングを重視し、市民も自ら検査を受ける意識を高めることができる」と述べた。
実際に中央新型コロナウイルス感染対策指導チームは30日の会議で、「無症状感染者の観測・追跡・隔離・治療を重視しなければならない」と指摘した。国家衛生健康委員会は31日に「新型コロナウイルス無症状感染者の感染対策に関する回答」を発表した。武漢市衛生健康委員会は23日に、市民が注目する無症状感染者について統一的な回答を行った。関連部門がすでに無症状感染者を防疫の重点としていたことが分かる。中国工程院院士の鐘南山氏と李蘭娟氏、上海市新型コロナウイルス肺炎医療治療専門家チーム長の張文宏氏、国家衛生健康委員会専門家チームメンバーの蒋栄猛氏ら複数の業界関係者も相次いで、無症状感染者の感染対策について声を上げた。
正式な定義によると、新型コロナウイルスの無症状感染者とは、発熱、せき、喉の痛みといった自分で感知できる臨床症状、または臨床上確認できる症状や症候がないが、呼吸器などの検体検査で陽性反応を示す人を指す。31日現在の医学観察中の無症状感染者は1367人。
この数値は現在までの感染者数(8万1554人)と比べるとそれほど大きくないが、なぜこれほど注目されているのだろうか。専門家は主に次の3つの観点を示している。
(一)予防が困難。正面から攻撃されれば備えがしやすいが、不意打ちをかけられれば対処が難しい。新型コロナウイルスの「基本再生産数」(R0)は高く、目に見えない無症状感染者も感染力を持つため特に注意が必要だ。無症状感染者を発見するためには現在主に4つの手段があるが、「フルカバー」を実現できない。
王氏も記者に「現在報告されている無症状感染者は、自ら検査を受け発見された人だ。患者はすでに隔離状態であったため、感染拡大のリスクは少ない。より多くの潜在的なリスク、つまり公表されていない無症状感染者がどの程度いるかについてはまだ不明だ」と分析した。
(二)不明瞭。無症状感染者の定義に食い違いがあるため、国内外の科学研究チームが導き出す人数及び割合は一致しない。1.2%、17.9%、18%、31%、30−60%など結論が異なっている。無症状感染者の感染期間の長さ、感染力の強さ、感染方法なども不明瞭だ。
寧波市疾病予防管理センターの専門家は、感染者との濃厚接触者の感染率(6.30%)と無症状感染者との濃厚接触者の感染率(4.11%)を比較し、「感染率の差には統計学的な意義がない」という結論を導き出した。中国疾病予防管理センター疫学首席科学者の曾光氏は、中国新聞社の記者に「この研究はサンプルが少なく、結論を急ぐべきではない」と述べた。
(三)頻発。山東省徳州市、貴州省貴陽市、四川省綿陽市などの各地で域外からの無症状感染者の輸入が報告されている。武漢市衛生健康委員会は1日、英国から武漢市に戻った16歳の留学生が、無症状感染から感染確定者になったと報告した。浙江省嘉興市、河南省漯河市などで無症状感染者と現地の感染確定者の関連が生じた。専門家はこれらに基づき、国内本土の感染拡大にはほぼ歯止めがかかったが、無症状感染者は潜在的な感染源であることから、場所の開放を判断する上で人口密度という重要な尺度を把握する必要があるとした。上海市では最近、ランドマークタワーの東方明珠塔が再び閉鎖された。ネットカフェや映画館などの営業再開した場所も再び臨時閉鎖された。