中国初の国産空母「山東艦」が三亜空母基地に到着してからちょうど1週間になると、三亜海事局が3つの航行警告を出し、南中国海関連海域で10日間の軍事訓練を行うと発表した。関連軍事専門家は「環球時報」に対して、今回の軍事訓練は空母を軸とした海上艦隊訓練になる可能性があると述べた。
海軍の劉文勝報道官(海軍大校)の21日の説明によると、山東艦が率いる空母艦隊は20日に順調に台湾海峡を通過し、南中国海の関連海域の訓練に向かった。情報によると、山東艦はその後、三亜空母基地に停泊した。最新の衛星写真によると、山東艦はすでに港から姿を消している。
通常であれば、定例訓練に関する公式のプレスリリースが発表されることはない。しかも劉氏も先ほど、山東艦の空母艦隊の目的は「南中国海の関連海域における訓練の展開」であると述べていた。そのため今回の訓練は至って正常だ。
三亜海事局は28日夕方に立て続けに3つの航行警告を出し、「2020年12月29日午前8時から2021年1月7日午後4時にかけ、海南島南西部、南部、南東部の海域で軍事訓練を行うため、進入を禁止する」と発表した。
関連専門家は29日、「環球時報」に対して「航行禁止となる3カ所はほぼ西沙諸島の北西の海域に位置しており、空母を軸とした海上艦隊訓練になる可能性がある。訓練内容は艦隊防御を内容とする実際の武器使用、及び艦載戦闘機による海上標的突撃・攻撃訓練などになる可能性がある」と分析した。
軍事専門家の宋忠平氏は「山東艦が母港に停泊し補給を終え軍事訓練に入るのは極めて正常なことだ。これは大きな任務で、訓練内容が多く、訓練の取り組みを強化することで、整った戦闘力・保障力を早急に形成する必要があるためだ。将来的に訓練の強度は上がり続ける。現在の訓練内容は主に山東艦とその他の駆逐艦・護衛艦の連携、それから艦載機の発着艦とみられる」と述べた。
周知の通り、米国が南中国海で軍艦・軍機による近接偵察を非常に頻繁に行っているが、これは山東艦の南中国海における訓練にどのような影響を及ぼすだろうか。宋氏は「訓練中に他国の軍艦・軍機の挑発を受ければ、自身の訓練の安全を確保するため、山東艦は必要な場合に他国の軍艦・軍機を追い払う任務を臨時で担当する。同時にこれも訓練の一部の内容になる。訓練の意義が、実際の相手を対象に関連作戦能力を展開することにあるからだ。南中国海情勢は今後緊張化するとみられ、山東艦の空母艦隊は複雑な情勢に対応する能力を備えなければならない。他国の軍艦・軍機から挑発されれば、これを一つの訓練とし、相手と実際に実地で駆け引きを展開するのも良いだろう」との見解を示した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年12月30日