湖南省の農村部を視察し、村民の生活状況を尋ね、彼らと歓談する習近平総書記。習総書記を核心とする党中央の指導の下、中国は昨年、全面的な貧困脱却を実現した(2013年11月、新華社)
より良い生活のために
中国共産党創立90周年に当たる11年、本誌の日本人専門家だった故金田直次郎氏は、党の歴史上重要な意味を持つ地域を訪ね、連載「革命史跡を訪ねる」を執筆した。
貴州省遵義市に関する記事で、金田氏はこう記した。「古い町並みが今もそっくり昔のままに残っている。道の石畳にはくぼみができ、この街が長い歴史を経てきたことを足裏からも知らせてくれる。太い木の結構、白壁、戸板、黒瓦……」。また、旅に同行した地元の記者の話を引用し、「高速(道路)が重慶に通うようになれば、大きな経済効果が望まれる」と書いた。その一字一句から、遵義の歴史・文化への関心、現地の経済発展への期待が読み取れる。
遵義は山々に囲まれ、昔は交通が不便だった。山地が多く、平野が少なく、耕地が複雑な地形によってさまざまなブロックに分割されるため、経済が長年遅れていた。13年、遵義は八つの貧困県、871の貧困村に92万2000人の貧困人口を抱えていた。同年、党中央は「的確な貧困救済」という理念を打ち出しており、遵義は地元の実情に応じ、茶葉や薬草、経済価値の高い果物・野菜を栽培し、インフラを整備し、就業のための研修などの就業支援を行い、農村観光に取り組むことなどを通じて、人々の貧困脱却を助けた。
習総書記は15年6月、遵義を視察した。貧困から脱却した人々の笑顔を見た習総書記は、農民が小康生活を送っていなければ全面的な小康とは言えないと述べた。多方面からの取り組みにより、19年までに遵義の全貧困人口が貧困から抜け出した。現在、遵義は9本の高速道路と二つの空港があり、高速鉄道がつながり、貴州省の交通の中枢となっている。もし金田氏が存命なら、きっとこれらの変化を喜んだだろう。
15年11月、党中央は、「貧困脱却の堅塁攻略戦に打ち勝つことに関する決定」を発表した。ここから300万人以上の党員が農村や辺ぴな地域に赴き、貧困救済の最前線で奮闘することになった。5年にわたる奮闘により、1億人近くの貧困層が貧困から脱却した。そのために1800人以上の党員が犠牲になり、生命をもって「誠心誠意人民に奉仕する」という党員の初心を裏付けた。
貧困脱却の堅塁攻略戦の全面的な勝利という目標の達成に伴い、中国の経済・社会は全面的な発展を遂げた。昨年のGDPは101兆6000億元に達し、世界2位を維持した。1人当たりGDPは1万㌦を突破し、全国の住民1人当たりの可処分所得は3万2189元だった。党の指導の下、中国の人々は幾世代にわたり奮闘し続け、小康社会の全面的完成という夢をようやくかなえた。