政治工作では隠せない米国の不十分な新型コロナ対策(4)
先日米メディアの発表した「COVIDレジリエンス(耐性)ランキング」は、評価指標の変更などをすることで米国を首位にした。だが皮肉な事に、米国では日々の新規感染者数、入院者数、死者数など感染状況の核心的指標において深刻なぶり返しが見られ、全50州で軒並み感染者数が増加する一方、ワクチン接種率は伸び悩んでいる。COVIDレジリエンス・ランキングを現実の残酷な感染状況と対比すると、自国の新型コロナ対策失敗の隠蔽を急ぐ米国の一部の人々の焦りが難なく見て取れる。これは、米国の一部政治屋が他国への責任転嫁という企てを実現するために、腐心して感染拡大に関してスティグマ行為を行い、ウイルスにレッテルを貼り、起源解明を政治化していることの根本的原因でもある。(人民日報「鐘声」国際論評)
だが米国の一部政治屋が、いかに手前勝手な計算をしようとも、彼らが自国の社会問題の束縛から抜け出すことはできない。米国の根深い社会問題は、そのコロナ対策にとって避けて通れぬ落とし穴だ。深いレベルで見ると、米国が新型コロナとの闘いに失敗した重要な原因は、人種による格差、貧富の格差、社会的分断などの問題にある。過去であれ現在であれ、米国の一部政治屋の不作為と出鱈目な行為は、社会的分断という現実への迎合であるだけでなく、社会的分断の傷を深めるものであり、感染状況の「悪化ー緩和ーぶり返し」という悪循環を招いた。
今年4月に米NBCが米国で行った世論調査では、「米国は分裂状態にあり、人種間や政治をめぐる緊張が激化している」との回答が82%に上った。米国の著名な政治学者であるフランシス・フクヤマ氏は、「歴史上前例のないパンデミックを前に、米国人は本来であれば互いの違いを捨て、団結して対応するべきだった。だが総じて言えば、パンデミックは米国の政治的二極化を激化させた」と指摘する。
人種による格差が固定化している米国では、新型コロナとの闘いのプロセスはなおさらに不平等なものとなった。米国のエスニック・マイノリティは白人と比べて感染や入院、死亡のリスクがかなり高い一方、ワクチン接種率はかなり低い。米疾病予防管理センター(CDC)の今年6月の統計では、ヒスパニック系は新型コロナウイルスに感染するリスクが白人の2倍、入院治療が必要となるリスクが白人の2.8倍、死亡するリスクが白人の2.3倍だった。また、5月12日時点で白人のワクチン接種率はヒスパニック系より66%高く、アフリカ系より56%高かった。
貧富の格差が拡大している米国では、個人の生命・健康権の重みは資産の多寡によって決まる。医療保険がないために治療を受けられないというのが、米国の多くの家庭が直面せざるを得ない現実だ。国連の「極度の貧困と人権の特別報告者」であるフィリップ・オルストン氏によると、米国の貧困層は新型コロナウイルスによって最も深刻な打撃を受けており、より感染しやすく、死亡率もより高い。パンデミックは米国の貧富の格差をさらに広げた。1000万人以上の米国人がパンデミックのために仕事や収入を失う中、650人余りのビリオネアの資産は過去1年間に1兆3000億ドル(1ドルは約110円)増加した。「Americans for Tax Fairness」エグゼクティブ・ディレクターのフランク・クレメンティ氏は、「新型コロナによる危機が米国の有色人種と低所得労働者を押しつぶそうとしている一方で、ほぼ全員が白人のビリオネア達は資産を急速に増やした」と指摘する。
パンデミックは米国の社会問題の増幅器や触媒となり、典型的な米国型危機が露呈した。社会がこれほどまで分断した米国において、新型コロナとの闘いは失敗することが決まっていた。あくまでも米国を「COVIDレジリエンス・ランキング」の首位だとするのは、自他ともに騙す「精神勝利法」に過ぎない。米国の一部政治屋にとって唯一の正しい道は、1日も早く現実に戻り、問題を直視し、勇気を出して問題を解決することだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2021年7月23日