中国に関する2つの報道が最近、国際的に注目を浴びている。ひとつは、米週刊誌「タイム」1月22日号の冒頭に掲載された「中国の世紀」と題する文章で、もうひとつは、日本の「読売新聞」に1月14日掲載された世論調査結果だ。西側社会が、中国の発展に対する単純化された敵対的な一種のイデオロギー的邪念から徐々に抜け出しつつあり、中国に対する見方に若干の疑念、矛盾、不確定要素が残っているにせよ、現実的かつ理性的な要素が確実に増えていることが、これらの報道からはっきり読み取れる。
「タイム」誌の掲載文章「中国の世紀」を例に取ると、中国に対する基本的な見方が、次の通り示されている。
(1)経済発展と社会の安定維持は、中国の当面の最優先課題である。
(2)対外関係において、国家の領土と主権を守ることは、中国にとって「最重要事項」である。
(3)中国の国際外交術と国際的責任における意識が大きく変化した。「中国が以前からずっと積極的な態度で練ってきた戦略には、地域戦略だけではなく、グローバル戦略も含まれている。中国の『自信』が大きく変化していることがわかる」。
(4)中国の飛躍が、「あの時の日本やドイツと同様に恐ろしい状況になるとは限らない」。
日本の財団法人・国際経済交流財団と米シカゴ地球問題評議会(The Chicago Council on Global Affairs)が共同で実施した「読売新聞」掲載の世論調査によると、国際社会において日ごとに影響力が高まっている中国に対し、「中国の影響力拡大を積極的に抑えるべきだ」と考えているのは、回答者のうちわずか28%(日本)、29%(米国)、23%(インド)と、その割合は3割にも満たなかった。より多くの人が、「中国と友好的な協力関係を速やかに構築すべき」と考えており、この割合は72%(日本)、65%(米国)、40%(インド)だった。多くの回答者が、中国の発展は自国発展のチャンスを促すものであるとの見方を示している。
これは筆者の私見だが、西側社会での「中国の飛躍」に関する論議は1990年初めに起こり、当時、英BBCテレビは、「中国の飛躍」と題する特別番組を放送、大学では中国の経済発展に関する講座が増えた。1990年半ばになると、当時のクリントン米大統領が訪中前に「中国はどのようにその偉大さを表現するか」に注目している旨を示すなど、中国の発展は何者にも妨げられないものだという西側社会の判断が明らかになった。この後、10年という長期にわたり、さまざまな「中国脅威論」が度々登場、一時的なブームとなった。しかし、中国は自らの国際的行動と外交実践によって、それらの不当な意見を打ち破ってきた。
まず、中国は国際問題に対して責任ある態度を取った。1997年のアジア金融危機の際に、中国は人民元レートの安定を保ち、地域のその他国家の危機を緩和したこともその一例だ。次に、中国は「強権外交」と「利益外交」という伝統モデルから脱し、「平和共存、調和外交、相互利益、求同存異(異なる部分は置いておき、共通部分を見出していくこと)、平等対話」を目指す新しい国家関係のモデルを強くアピールした。中国が提唱する新しい国際秩序は、世界の文明的社会構築を強く促進する作用を持っている。中国はこのような外交戦略を実行することで、世界からますます多くの理解と賛同を得、さまざまな「中国脅威論」が国際世論を主導することを許さず、逆に「中国チャンス論」を優勢に導いた。
日が経つにつれて人の心は分かるようになり、事の道理もおのずと明らかになる。中国の発展が世界平和と安定に利益をもたらすことは、時間が過去に証明してきたことであり、これからも証明し続けるに違いない。
「人民網日本語版」2007年1月23日