常教授は、労働契約法を制定するさらに深い原因として、中国の雇用関係の市場化が進んでいることを挙げた。1995年から現在に至るまで、中国経済の構造は大きな変化を遂げ、財産権に占める私有財産の割合が大きくなった。また、経営権の市場化が進み、中国には所有権と経営権が組み合わされた利益集団が形成され、利益集団はともに労働者と向き合っている。同時に、現実には労働者の権利はずっと無視されたままだった。旧体制は既に存在せず、新体制下の権利も確立されていない。こうした権利の空白は過激行為の引き金となり、大きな社会的コストを生んでいる。労働契約法はこうした問題を解決し、形式的平等を実質的平等に変えるとともに、公権力の介入を大きな特徴としている。
常教授はメディアの取材に対し、現在の状況下で労働契約法が特定の契約期限を設けない無期限契約の定着を目指せば、労働者の安定感を保証し、企業の労働関係の調和を図るのに役立つものだ。一方で、無期限契約は企業にとっては不安材料となる。
2005年12月24日、労働契約法草案が全人代常務委員会に初めて提出された。そして、06年3月20日には第1次審査を経た草案の全文が公表され、社会から意見が募られた。同年4月20日まで、インターネット、新聞雑誌、書状などで19万件余りもの意見が寄せられた。これは中国の立法史上まれなことだ。
中国EU商会(商工会議所)、北京と上海の米国商会、広州の外商投資商会など外資系企業を代表する機関が立法機関に反対意見を述べた。外資は労働者の権益を過度に保護する法律を施行すれば、労働コストの上昇を招き、中国の投資環境にマイナスの影響を与えると主張した。上海多国籍企業人的資源協会の代表は「こんな法律を施行するなら撤退する」とまで言い放った。
「人民網日本語版」2007年11月20日
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