映画が特殊撮影技術の勝負になっている昨今、特にSF映画ではどのシーンにおいても特撮技術が不可欠である。多くの中国映画や大金を投じて作ったとされる特撮映画がハリウッドに匹敵するようになったといっても、技術レベルやスタンスの点において、まだまだ時代感覚からは遅れている。
先ごろ「オデッセイ」の公式サイトは、特殊撮影技術の詳細を公開した。4分間のビデオには、映画の20余りの場面における合成写真が掲載されている。その技術たるや、まさに脱帽である。
リアルそのものの火星の山脈、嵐、星空、ロケット、炎、爆発など、いずれも後から合成したものである。その多くは撮影が終了してから付け加えられたものだ。 なかでも驚くべきは宇宙飛行士がかぶっているヘルメットのフェイスカバーが、実際の撮影時にはまったく着けられていなかったこと。完全な“後付け”である。
その理由はフェイスカバーの素材がガラスであることと関係する。すなわちガラスにいろいろなものが反射するからである。そのまま撮影すると撮影小道具などの影がすべてガラスの表面に写ってしまう。それを避けるためにあとからその部分を合成写真として張り付けたというしくみだ。