APEC首脳会議、中国は安倍氏の罠に要警戒

japanese.china.org.cn, September 28, 2014
 

APEC首脳会議の機に乗じ、中国の首脳との会談を目指す安倍首相の術策は、中国にとって百害あって一利なしだ。「環球ネット」が伝えた。

中日関係の冷え込みの真の原因

中日関係の冷え込みの真の原因を、釣魚島と言う人もあれば靖国神社と言う人もおり、また日本の右傾化と言う人もいる。しかしこれらの問題は昔から存在している表面的な現象であり、根本的なものではない。最も根本的な問題は中日の総合的な国力の逆転であり、日本に不安と不快感をもたらしている。これは中国人には想像しがたいものだ。

日本の書店やネット上で近年最も人気のある書籍・記事・報道は、中国を意図的に貶める「創作」でなければ、必死に見つけてきた印象の悪い「事実」である。肯定的な報道に注目しようとする人はおらず、日本メディアは読者が読みたがらない記事を書こうとしない。これは釣魚島と靖国神社の問題のせいかと思っていたが、詳細に分析するとこれが違うように思えてきた。

筆者は1985年に初めて訪日した。筆者の良心にかけて言うが、日本メディアは長期間に渡り中国に対して友好的であった。その根本的な原因は、日本の一般人が中国に好感を持っていたからだ。当時の世論調査の結果によると、中国に好感を持つ人の数は、米国に好感を持つ人とほぼ同じだった。

筆者は政治にあまり興味を感じない企業家だが、初めて驚かされたのは後の総理大臣の麻生太郎氏の、テレビ番組での発言だ。麻生氏は2008年に首相に就任したが、その前にテレビの前で『中国は厄介』という本を紹介し、最近最も熱心に読んでいると語った。主要な政治家がテレビでこのような観点を宣言するとは、それまでは想像もできないことだった。

その後、麻生氏は首相に就任し、初の国会演説で歴代首相が必ず口にしていた「日本は世界2位の経済大国として……」という言葉を繰り返した。しかし麻生氏は、これを最後に口にした首相になった。中国のGDPはその後日本を追い越し、遠く突き放した。

日本のシンクタンクも、中日関係の大きな変化が生じたのは2007年と分析している。その契機は、「毒餃子事件」だ。当時ある中国企業が日本に輸出した冷凍餃子から毒が検出され、刑事事件であることが証明された。中国の従業員は企業側に不満があり、意図的に毒を混入した。この個別の刑事事件が、日本のすべてのマスコミと政治家に喧伝された。筆者の子供まで、家でよく「毒餃子」を食べているのではと聞かれたほどだ。

これは中日のGDPが逆転する3年前のことだ。よく思い出すと、書店には当時『中国は厄介』のような書籍が並べられるようになった。これは右翼の政治家が、公然と中国への攻撃を開始した時期だ。この時期から日本経済の発言権が弱まり、輸出が縮小した。中国にとってこれは正常な発展だが、日本は深く傷ついた。

日本人の不安を利用する安倍氏

公平に言って、一部の日本人、特に保守的な日本人がこのような気持ちを持つのは理解できる。しかし安倍首相はこの心理を巧みに利用し、やり過ぎになっている。安倍首相はこうして、中国ばかりか日本を損ねている。中国は安倍首相を放任できなくなった。

安倍首相が本心から「靖国参拝を停止」と約束し、「釣魚島の係争の存在」を認めることはありえない。この約束と承認の前提がなければ、安倍首相と正式に会談したところで、少しも中国の利益にならない。安倍首相にとっては、少しの代価で多くの利益を得て、自分の顔を立て政治資本を得る良い商売である。

会談の内容がどうあれ、安倍首相は国内外に「私は誰よりも中国に強硬な態度をとれるが、中国から認められ尊重される政治家だ」とPRできる。そうすれば、安倍首相はこれまでの路線を大胆に歩み続け、国内での人気を高めることができる。これは安倍首相が、いかなる承諾も譲歩もしなかったからだ。その後に中国が遺憾の意を表したとしても、安倍首相は気にする必要はない。安倍首相が欲しているのは会談の結果ではなく、会談そのものであり、「私が中国を怒らせることをしても、中国の指導者は会わざるをえない」と思ってることがわかる。

中国と日本は永遠の隣国であり、じっくり議論する必要がある。それならば、何年、もしくは十何年の紆余曲折を経るかは気にする必要がない。安倍首相を放っておけば、中国に厄介事をこしらえようとする人間にわざわざプレゼントをするようなもので、安倍首相のやり方を真似する政治家がその後も登場するだろう。こうなれば日本が中国に適応する時間が延び、中国にとっても日本にとっても不利だ。

中日関係の大局は、中日両国、ひいては世界の歴史の発展がもたらした結果である。両国首脳の個人的な関係は、一定の潤滑油の効果を発揮するが、大勢を変えることはできない。中国が過去の歴史の地位を取り戻すのは、個人的な願いではなく、歴史の流れである。一部の日本人がこれに慣れないのは理解できるが、中国には彼らに配慮する義務はなく、迎合する必要もない。(筆者:宋文洲 政治・経済コメンテーター、ソフトブレーン株式会社創業者。日本のテレビ番組にコメンテーターとして出演し、日本の時事や企業経営について論じている)

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年9月28日