だが、金融ソフトを香港と比べてみると、大きな差があるのは明らかだ。ゴールドマン・サックス社アジア太平洋地区総経理・胡祖六氏は「上海は今、基礎を固めているところだが、短期間で香港の国際金融センターとしての地位を真に脅かすことはできない」と話す。
さらに胡氏は「2つの都市の間の差は非常に大きい。香港は巨大で世界的に有名な銀行システムを擁しているが、一方の上海は現在、国有銀行制度の改革に力を入れているところだ。香港証券市場の株式時価は上海をはるかに上回り、大陸の市場に比べ、投資家は一般に香港により魅力を感じている。こうした差が短期間で縮まることはない。ハード面では、上海には多くの近代的な金融機関のオフィス用高層ビルが建っており、一見すると香港のように繁栄しているようだが、それは不動産にすぎず、金融業というものではない」と分析する。
法治、開放された市場、透明度、自由に流動できる資本と自由に両替できる通貨、これが香港にとって競争の有利な条件となっている。こうしたソフト面で、上海がそれに達するまでにはより長い時間が必要だ。国際金融センターとしての香港は、監督や管理方式の面でも、商品の刷新や企業管理の面でも、上海にとってより深く学ぶ価値がある。
胡氏は「上海の金融の対外開放度と対内開放度はさらに高める必要があり、金利や為替レートの市場化もさらに深める必要がある。通貨市場の整備は相対的に遅れ、金融市場の流動性は低く、転換力も弱く、監督・管理者の資質やその技術水準も高める必要がある。金融機関と金融市場の透明度は低く、金融の情報化の進展も遅く、金融仲介組織も明らかに不足し、高い資質を備えた金融の人材も著しく不足している。これらが上海にとって制約的な要素だ。とくに人民元の自由な両替までには時間がかかり、こうした制限が一貫して、上海が国際金融センターを構築するうえで無視できない障害となってきた」と指摘。
結論として、胡氏は「上海が香港のように国際金融センターになるには、まだ長い道を歩まなければならない」と強調。