国家外国為替管理局の高官、柴青山氏は「国際金融センターの問題では、上海は香港とは比較にならない。香港は世界第9位の株式市場であり、上海の株式時価は香港の半分にも及ばない。内地の資金は非常に余裕があり、流動性が人民中央銀行の関心を呼んでいるとはいえ、多くの企業とくに大手の優良企業はむしる香港への上場を望んでいる」と話す。
銀行業務の面では、上海の銀行資産は香港の銀行の総資産の41%にすぎず、しかも香港は多くの世界クラスの銀行を抱え、銀行大手100行のうち70行が進出している。香港の銀行の海外業務は融資総額の13%を占め、金融の開放と国際化は上海をはるかに上回っている。
実際、今年3月に英国ロンドンのシティーが発表した金融センターの競争力に関する調査報告によると、1位はロンドンで、2位は米国、次いで香港、シンガポールの順だ。上海は24位。報告は人材や市場管理、企業環境などが十分でないため、中国経済の「機関車」としての上海は、各指標から見て、現在のところ香港とは比較できないとしている。
だが、上海はそれでも中国で金融業が最も発達した都市であり、期待するに値する面も多い。例えば、外資銀行は香港と同様、上海にも期待を寄せている。シティバンクや香港上海銀行(HSBC)、スタンダード・チャータード銀行、クレディ・アグリコル・インドスエズ、オランダ銀行など19行が上海に本部を設置。上海はビジネスコストで香港より競争力があり、上海証券取引所の取引額は昨年、香港を上回った。
北京師範大学の賀力平教授は「上海は国際金融センターになる強みを持っている。まず、経済・地理的条件だ。中国最大の港湾都市であり、国際交通は至便で、貿易も急速に発展している。しかも経済が最も発達し、成長率が最も速い長江デルタ地帯に位置しており、発展の潜在力は非常に大きい。香港に比べ、上海は中国経済全体からエネルギーをより得ることができる。経済力とそれに連動する長江デルタ経済地帯については、香港は比べることもできない」と指摘する。