貿易は経済活動の最前線といえますが、このところ日中間の貿易関係に影響しそうな新たな視点が出てきました。これまでの日中貿易は、対中進出した日系企業を軸に展開していたといえます。極端な言い方をしますと、現在、対中進出している日系企業は約2万社ですから、この2万社のために日中経済関係が展開していたということになります。対中進出した日系企業向けに部品原材料を輸出し、そうした企業が生産した完成品を輸入してきたというのが、従来の日中貿易のパターンでした。
昨年の日中貿易では、輸出では対中進出日系企業向けの電子部品、プラスチック(自動車関連)が増え、富裕層向けに日本車など高級製品の輸出が拡大したこと、一方、輸入では、中国に進出している欧米や韓国からの製品輸入(携帯電話など)が増え、繊維製品を中心に中国の地場OEM(相手先ブランドによる生産)メーカーへの発注が増えた点が特徴的でした。
総じて、中国市場は拡大しており、中国で日系進出企業と競合関係にある外資系企業の製品が日本市場に入ってきている点などが、今後の日中経済関係を見る上で新たなポイントといえるでしょう。
2006年に、日中貿易は初めて2000億ドルの大台を突破しましたが、日本の貿易総額における相手国シェアーでみると、中国は第2位です。第1位の米国との差がわずか0.2%までに縮まっており、2007年には、中国が米国を抜き日本にとって最大の貿易相手国になる可能性が高くなっています。