世界的範囲での懸念
食品輸出大国の1つとして、中国の劣悪製品輸出の不良記録は最悪ではないが、中国製食品は各国の要注意の対象となっている。最近、諸外国、特に米国の税関で足止めになった中国の安全上問題のある製品は、添加剤や化学物質の残留が基準を超えた水産品、腐敗した冷凍カニ肉や鉛の含有量が基準を超えたおもちゃなどがある。
『ニューヨーク・タイムズ』7月12日付の記事で引用された米国食品薬品監督管理局のデータによると、2006年6月から2007年6月まで、延べ1368件の中国食品が税関で足止めになった。一方で、これと同じ時期のインドの件数は1763件、メキシコの件数は1480であった。
7月20日、日本の厚生労動省が2006年度輸入食品検査レポートを発表した。レポートによると、抜き取り検査の結果、中国の対日輸出食品の合格率は99.42%で、米国、ヨーロッパの対日輸出食品を上回るものであった。
米国食品薬品監督管理局で30年近く勤務していたベテラン専門家のカール・R・ニールセンさんは、『ニューヨーク・タイムズ』の取材を応えた際に、「食品安全問題は、もはや1つの国だけで問題が発生しているのではなく、世界的問題となっている」、と断言している。
中国品質検査総局の李長江局長もこれとよく似た考え方を示した。氏は記者会見の席で、「食品安全はすでに1つの国だけの問題ではなく、1つの地域だけの問題でもなく、世界各国が直面している共通の課題である」、と語った。
食品の品質コントロールの面で、中国が直面している特殊な困難は、マーケットに数十万の作業場と小さなメーカーが存在していることである。
7月20日の記者会見の席で、李長江副局長は、米国の2つの企業が対中輸出蛋白質製品に、規定に違反してメラミンを添加し、その上検査を必要としない製品品目と偽って通関の申請を行い、検査・検疫を免れたことを明らかにした。この検査逃避事件のために、米国が6月に急きょ約100種類のペットフードをリコールすることになった。