人民元の対米ドルレートの継続的上昇により、珠江デルタ地域の大型製造企業は「転ばぬ先の杖」とばかりに、ユーロや日本円による対外決算を選び始めている。製造企業にとって米ドルの対人民元レートの変化による圧力は大きいが、ユーロの圧力は相対的に小さいためだ。
香港で上場する真明麗集団の呉承璋・業務副総経理(業務担当副社長)によると、米ドルの対人民元レートの為替差損を回避するため、照明器具メーカーはユーロや日本円での決算を検討し始めており、ユーロの対人民元レートの変動は製造業に有利だといえる。こうしたやり方は一部の小売業者の理解を得て、すでに数カ月にわたり実施されており、なお効果的だといえる。
広東省に本拠地を置く照明器具メーカー・欧普照明の国際業務担当者によると、為替リスクを回避するため、米ドルで見積もりを出す時は、買い手側に為替リスクの共同負担を求める。欧州市場では必ずユーロベースで見積もりを出すという。
ユーロや日本円での決算以外にも、貿易展示会などに参加するメーカーの中には短期契約のみを結んだり、あらかじめレートを設定しておくというケースが出ている。今年の中国進出口商品交易会(広交会)に参加予定のあるメーカー関係者によると、今年締結する予定の契約では事前に買い手側と話し合い、レート変動リスクの共同負担を確認している。買い手側はみなメーカー側の苦境を理解してくれるという。
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