プラス？マイナス？

人民元上昇について、ある業界関係者は「大変よい現象」とみるが、別の関係者は懸念を表明する。中国社会科学院経済研究所宏観経済学研究室の張暁晶主任によると、人民元上昇は両刃の剣であり、中国経済に対してプラス影響もあればマイナス影響もある。プラス点は二つあり、一つは中国の貿易黒字を減少させ、現在生じている資金の過剰な流動性の問題を根本的に解決するのを助けるということであり、もう一つはインフレをある程度抑制するということだ。

張主任は「人民元上昇は輸入インフレをある程度抑制する。たとえばここ最近、世界的に資源・エネルギー価格が上昇しており、特に穀物や石油の価格上昇が急速だ。人民元上昇ペースが加速すれば、こうした製品の輸入価格が安くなり、輸入インフレを抑制することになる」と話す。

一方、人民元上昇のマイナス点について、一部の専門家は次の点を指摘する。第一に、人民元上昇ペースの加速により海外資本、特にホットマネーの流入が増え、遊資が大量に流入するため、資本市場の動きや資金の過剰な流動性問題にとって大きな打撃となる。第二に、人民元の大幅上昇は貿易黒字をある程度減少させるが、実際には輸出企業にとっての大きな圧力となる。第三に、中国は発展途上国であり、より長い時間をかけて高度成長を遂げていく必要がある。国際的な先例をみると、本位貨幣の継続的上昇は将来の経済成長を妨げるものとなる。