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四川大地震の中国経済への影響 中国社会科学院袁鋼明研究員
発信時間: 2008-05-22 | チャイナネット

――中国経済への影響は全体的なものか、それとも局部的なものにとどまるか

▽中国社会科学院経済研究所 袁鋼明研究員

このたびの地震が中国に与える影響は必ずや全面的なものになる。影響は局部に限られるという人がいれば、それは地理的な影響のことだ。経済的視点で被害や影響を語る場合。それは必ずや中国全体の被害の話になる。

第一に、現在支援活動を行っている全国各省などの「対口包幹」制度は、各自治体が支援対象の鎮や郷を決めて、無償で支援を行うというものだ。被災地への支援は行わなければならないが、このような割当方式での支援は正常な生産活動を縮小させ、支援先の経済に一定の影響を与えることになると思われる。

第二に、市場メカニズムについて考えると、市場経済のルールに基づいて損益は自らが負うべきだ。政府の行政力による関与は、被災地の支援コストを最大限引き下げることで、こうして引き下げられたコストが全国各地に波及していく。

第三に、国の財政支出は巨額だ。ある統計データによると、2007年末から08年初頭にかけての大雪災害で国家予算から1500億元を支出した。今回の地震災害への支出は現在40~50億元となっているが、国家予算から軍隊や各省・自治区へ波及した損失への補助金を出さなければならず、大勢の被災者への見舞金も必要であり、これでは全く十分ではない。財政支出は大雪災害を上回るとの推計もある。全国的にみて、本来財政投資がカバーしてきた生産関連の建設が深刻な影響を受け、さらにはマクロ経済にも影響を与える見込みだ。

第四に、金融業の損失も深刻であり、金融ルールも崩壊している。中国人民銀行(中央銀行)はこのほど、四川省の商業銀行の預金準備率を調整すると決定した。想定できる今後の状況は、貸付資金が回収不能になることだが、預金の穴埋めはできず、銀行は大きな損失を抱えることになる見込みだ。

第五に、世界的にみて、日本の阪神淡路大震災、米国のロサンゼルス地震(ノースリッジ地震)、メキシコ地震では、死者はそれぞれ数千人規模で、国際経済への影響が非常に大きかった。今回の四川大地震では死者が数万人に上り、中国経済により大きな影響を与えるものとみられる。

「人民網日本語版」2008年5月22日

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