「中国経済50人フォーラム」のメンバーを務める中央銀行貨幣政策委員会の樊綱・委員はこのほど、「震災救助活動はマクロ調整政策を左右する要素にはならない」との見方を示した。12日に発生したマグニチュード8.0の大地震は被災地に生命と財産の深刻な損失を与えた。一部の市場関係者はこれを受け、「現在引き締められている貨幣政策は適度に緩和されるべきだ」と主張していた。「上海証券報」が伝えた。
樊氏によると、自然災害は2つに分かれる。1つはSARSのような災害で、物質的な損害はないものの、人々の生命や健康を脅かすもの。GDPへの影響から見ると、人々の需要が低下し、経済の活発度が低下し、GDP成長率の低下につながる可能性を持つ。
もう1つは四川大地震のような災害で、人々の生命を脅かすと同時に、巨大な財産損失も生み出すもの。このタイプの災害は、これまで積み上げられてきた多くを破壊する。そのため、救助活動と復興作業の中で、多くの物資の需要が生じる。大量の工事なども必要となり、GDP成長を加速させる効果を持つ。
このため「震災救助活動のためにマクロ政策が緩和や調整が必要となるとの見方には同意できない」と樊氏は指摘する。「私たちはほかの理由でマクロ政策調整の必要性を議論するべきで、救助・復興そのものは貨幣政策の調整を促す理由とはならない」。
※中国経済50人フォーラム:経済学界の有識者によって1998年6月に北京で設立された独立的な学術グループ。メンバーはいずれも、国内一流のレベルと高い知名度を誇り、中国経済問題の研究に尽力する経済学者ばかり。
「人民網日本語版」2008年5月27日 |