マクロ経済研究者や政策決定者であれば、ネットCPIを通して中国経済に発生した構造調整の変化をよみとることができる。CPIに反映されるのは、消費者の全体的な平均水準だ。世帯ごとに消費構造は異なり、同じ価格変動であっても世帯の層が異なれば受ける影響も違ってくる。たとえば北京では、昨年7月にはCPIが前年同月比2.1%上昇したが、低所得層に限っていえば6.3%の上昇だった。多くの人はCPIの全体的なデータしかみないが、人がそれぞれの見方で異なる結論を導き出すのは当然のことだ。
中国という経済発展の地域間格差が大きく、都市・農村間の格差も大きい国で、全体的なCPIデータで経済全体を解釈しようとするのには無理がある。特に都市に住む成功者については、彼らを対象にしたものであれ、彼らをターゲットにした市場の参入企業を対象にしたものであれ、はたまた都市部の政策決定者を対象にしたものであれ、なんらかのより正確なCPIデータがぜひとも必要だ。
ネットCPIの消費財構成リストをみると、それはまさしく都市の成功者の特徴に合致する。淘宝網での売上上位10製品は上から順に、携帯電話、婦人用ファッション製品、リチャージカード、化粧品、ノートパソコン、自動車用品、小型家電製品、コンピューターハードウエア、マタニティ・ベビー用品、紳士用ファッション製品となっており、ここから都市の中流以上の富裕層の消費実態がうかがえる。
ネットCPIはある側面から国が提起する「構造的価格上昇」説を裏付けするものでもある。ネットCPIと国のCPIとを比べると、ブタ肉や穀物などの農産品価格が上昇し、ファッション製品やデジタル製品などの工業製品価格が低下している。これは実際には、改革開放から30年を経た現在、工業が農業に「恩返し」をするようになったことを示す。以前は農業が都市の発展に物質的な基礎を提供していたが、今は国がマクロ調整を通じて農業を支援する時だ。
こうしたことから、現在のインフレ圧力の背景をそれほど悲観しなくてもよいことがわかる。
「人民網日本語版」2008年7月22日
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