(2)課税最低額再引き上げの声
課税最低額の引き上げ後に個人所得税の納税額が増加したのは、今回が初めてのケースではない。2006年に最低額が800元から1600元に引き上げられた時、通年の個人所得税は前年比17.1%増加した。国家税務総局は当時、増加の原因を国民所得の急速な伸びと税務機関の徴収管理の強化にあると結論づけた。
個人所得税の課税最低額をどれくらい調整するのが妥当かという問題について、魏教授の見方は非常に明確で、「5千元が妥当。これくらい調整しなければ国民収入の大幅な増加は見込めない。5千元に引き上げても、国の財政収入はそれほど減らない」と話す。安教授も「今年の物価上昇が先の課税最低額の引き上げの効果を削いでおり、具体的な引き上げ幅は改めて算定した方がよい」と指摘する。
実際、年初以来、個人所得税の課税最低額再引き上げの声がたびたび上がり、2500~5千元への引き上げが提起されている。同局の許善達・元副局長も「課税最低額はなお引き上げの余地がある」と話す。
安教授は「個人所得税の課税最低額引き上げを消費者物価指数(CPI)と連動させるメカニズムを積極的に検討すべきだ。両者が対応するメカニズムをうち立てなければ、課税最低額の調整は1テンポ遅れたまずい措置になってしまう」と話す。魏教授は「北京や上海などの大都市については、不動産価格などの要因を考慮して、5千元を基本的な生活水準の維持のために必要な額と考える。課税最低額を制定する場合は、各地域の生活コストの違いを十分に踏まえなくてはならない」と強調する。
「人民網日本語版」2008年7月23日
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