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ドーハ・ラウンド交渉の「悲壮な失敗」
発信時間: 2008-07-31 | チャイナネット

先進国は、発展途上国が特別保障メカニズムを通じて、特殊な農産品に対する現行の関税率を大幅に引き上げようとしていることに注目した。このためラミー事務局長の妥協案には、先進国は特別保障メカニズムの実施に制限を加えるとの内容が盛り込まれたが、これに対し発展途上国メンバーから大きな不満の声が上がった。インドを筆頭とする発展途上国は、妥協案における発展途上国の特別保障メカニズム実施に関する制限は厳しすぎるとして先進国側に譲歩を求めたが、米国が反対したため交渉は失敗に終わった。

WTOの新メンバーとして、中国は会合で積極的な役割を果たし、新メンバー10数カ国の利益を保護した。より重要なことは、責任ある発展途上国として、発展途上国メンバーの利益を守るために積極的に交渉に参加したことだ。

今会合では主要7カ国・地域が中心的な役割を果たした。これまでの多角的貿易交渉は4つの先進国メンバーが主導してきたが、現在はこれに3つの新興国が加わった。こうした状況は発展途上国が力を増してきたことの現れであり、発展途上国メンバーの参入により世界の貿易システムがよりバランスの取れたものに発展していくことが予想される。

今回の交渉決裂は、ドーハ・ラウンドにおける一つの挫折に過ぎず、ドーハ・ラウンドの完全な失敗を意味するものではない。だが挫折は多国間貿易システムに対する人々の信頼をうち砕いたし、ラウンドの終了は予定より1年以上遅れる見込みだ。(編集KS)

*筆者の宋弘氏は中国社会科学院世界経済・政治研究所国際貿易研究室主任。

 「人民網日本語版」2008年7月31日

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