(4)構造調整
都市化の急速な発展は、農産物や食品の需要を人口の増えた各都市で増加させた。住民の収入の増加は、消費者の需要を高め、食用油・肉類・卵類・水産物・乳製品の消費量を増加させた。工業製品と農産品の価格差拡大は、農産物の価格上昇による格差解消を促した。工業製品価格の比較的速い上昇に対し、農産物の価格変動は小さく、価格差は日増しに拡大していた。豚肉価格の急速な上昇は、飼料の値上がりとバランスを欠いた従来の豚肉価格をある程度調整する必然的なものだったといえる。
(5)流動性の過剰
世界の主要経済国は01年以来、経済成長を刺激するため、金利を低い水準で維持してきた。多様な金融商品も生み出され、世界の貨幣にだぶつきが発生していた。中国ではここ数年、▽貿易黒字の急速な成長の継続▽海外直接投資(FDI)▽人民元上昇への期待――などのさまざまな影響を受け、外貨準備高が大量に増加し、ベースマネーの拡大と流動性過剰の局面が出現していた。マネーサプライは各層で高い増加率を示した。銀行では預金が貸付金を上回り、この差が拡大することで、銀行資金も拡大していた。流動性の過剰は、相対的に少ない財やサービスに、相対的に多い貨幣が集まることを意味し、物価の上昇を促す原因となった。
以上のように、ここ2年の物価上昇はさまざまな原因が重なって起こったものだ。国外に原因を持つものもあれば、国内に原因を持つものもある。コストの上昇によって起こったものもあれば、需要の増加で起こったものもある。総量の変化によるものもあれば、構造の変化によるものもある。国内外の環境は非常に複雑であり、物価上昇をコントロールする任務は依然として困難に満ちている。
「人民網日本語版」2008年9月3日
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