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2兆元の鉄道投資、金融危機克服で奏功するか?
発信時間: 2008-11-04 | チャイナネット
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 アジア金融危機が起こった10年前、中国は道路の基礎建設を柱とした内需拡大政策を講じ、危機からの脱出を見事に果たした。一段と深刻化している世界的な金融危機に直面している現在、内需を増強するための決定策として、鉄道投資が進められる状況がますます顕著になっている。10年前の道路建設のように、今回の鉄道投資も、中国経済を牽引する新しい動力となり得るのだろうか?

 ▽鉄道投資額2兆元

 鉄道部の王勇平・報道官はこのほど、国務院から意見付回答が得られた鉄道投資額は2兆元に達したと発表した。このうち、現在建設中のプロジェクトに対する投資額は1兆2千億元を上回る。この数字は現時点での決定額にすぎず、今後の実情に合わせて一部が増加する可能性が高い。1997年に国際金融危機が勃発、中国は翌1998年、高速道路の建設に巨額を投じ、力強い経済発展を実現させた。道路建設は当時の歴史的・経済的条件により、少ない投資、短い工期、高い即効性などの特徴を呈し、内需刺激につながった。現在の中国の経済レベルは新たな段階にあり、道路建設事業の骨組はほぼ完成している。その上、道路輸送による大気汚染がひどく、土地占有が大きく、運送量が小さいなどのデメリットから、道路が経済発展効果をリードするには限りがあると考えられる。中国共産党中央政策研究室の鄭新立・副主任も、「我々は10年前、高速道路網の建設によって内需を拡大させたが、今回は鉄道ネットワークの建設がそれに取って代わることになろう」と語る。

 統計データによると、鉄道投資額累計と月当たり投資額の増加スピードは今年に入って急激に上昇している。9月末の時点で、中国鉄道部門が完成させたインフラ建設への投資額は1700億元、昨年同期の993億元に比べ71.1%増大した。鉄道部によると、国家が鉄道プロジェクトに対して意見付回答を返すスピードはここ2カ月、かなり速くなっているという。10月だけでも、京石(北京―石家庄)・石武(石家庄-武漢)旅客輸送専用線、蘭渝(蘭州-重慶)鉄道、貴広(貴陽-広州)鉄道、南疆(トルファン-カシュガル)鉄道庫阿(コルラ-アクス)第2線など多くの重点プロジェクトが続々着工した。
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 ▽恩恵に与るのは、どんな業界?

 「鉄道『十一五計画(第11次五カ年計画:2006~2010年)』」によると、中国が新しく建設する鉄道線の全長は1万7千キロメートル、このうち、旅客輸送専用線は7千キロメートル、在来線で追加敷設される第2線は8千キロメートル、在来線の電化改造距離は1万5千キロメートル。国家による今回の鉄道投資に対するスピードアップが、関連各業界の発展に極めて大きなビジネスチャンスをもたらすことは間違いない。

 物流を専門とする北方交通大学大学院博士課程の張文傑教授は、「地域的な観点から言えば、経済に対する道路建設の牽引作用は極めて明らかといえる。しかし、全国規模でみた場合、経済に対する鉄道投資の牽引作用は、道路投資とは比べものにならないほど強力だ」と語る。中国における旅客輸送専用鉄道の工期は約4年だが、欧州では5~8年が一般的という。よって、中国が「十一五」建設計画を実現するためには、高水準・高品質を達成し、施工の機械化度を大幅に高めなければならない。まず、掘削機、ポンプ車、クレーンなどの需要量を大幅に増やす。鉄道建設工事は、土木建設、レール敷設、電化建設の各段階に分けられる。これにより、鉄道建設で最大の利益を享受する業界は順に、鉄道建設、建設機械、鉄道車両、セメント、電気設備、鋼材、通信、化学工業製品、物流となる。

 鉄道部の何武華・総工程師によると、鉄道建設では、約150万の就業ポストが直接提供されるという。北京-上海高速鉄道だけでも、工事作業者数は(鉄道システム関連作業員を含まず)10万人以上に達する。鉄道建設の工事現場で直接提供される就業ポスト以外に、鋼材や建設機械業など鉄道建設の上流工程に携わる企業でも、約1百万の就業ポストが間接的に提供される見通し。
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 ▽民間資本の投資・融資をリード

 国家発展改革委員会(発改委)総合運輸研究所の汪鳴・副所長によると、2兆元にのぼる鉄道投資が意見付回答を得たといっても、投資の実施方法と投資問題の解決方法を見出すことが先決だという。汪副所長は、この2兆元は、鉄道部と各省の基本的合意に基づくもので、地方はかなり積極的だが、鉄道への投資・融資体制および政策上での問題がボトルネックになっていると指摘する。現実には、資金がスムーズに入って来ないという問題も存在する。合意書を見ると、鉄道部と省政府の共同運営によるとあるが、実際には政府による運営だけで、企業の運営はないだろうと汪副所長は分析している。ここに、2つの難関が生じる。ひとつは、鉄道部自体がどれだけの投資力を備えており、2兆元のうちどれだけ負担することができるかどうかという問題。2番目に、鉄道部が要求する関連資金を地方各省が拠出可能かどうかという問題だ。これには、土地収用・建物取り壊しに関する資本金が含まれる。

 中国共産党中央政策研究室の鄭新立・副主任によると、発改委は今年、鉄道建設のための十分な資金源を確保する目的で、「鉄路管理体制改革方案」を制定したという。鉄道部によると、「2008年中国鉄道建設債券の発行審査・許可に関する国家発展改革委員会の意見付回答」において、鉄道部が2008年に800億元の鉄道建設債券発行に同意、第一期発行分400億元が9月と10月の2回、国家開発銀行を引受主幹事として販売されたという。

 張文傑教授によると、中国「十一五」計画のあたま数年間、鉄道投資額は一日平均20億元、年間で7千数億元に達したという。この数字から見ると、2兆元という投資額はそれほど大きいものではなく、正常な発展の範囲に入る。張教授は、経済の牽引を図るならば、鉄道建設を内需拡大の新動力とし、鉄道投資をいっそう増大させる必要があるという見方を示している。


 「人民網日本語版」2008年11月04日
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